SWEET LIFE

「…あの。」
「逃げようなんて思っちゃ駄目だよ？」

ちっ…。
アタシは軽く舌打ちした。

「とにかく、帰ろう。俺の家にｗ」

自称飼い主はアタシの腰に手を回すとデカイ黒塗りの高級車に乗り込んだ。
あっという間にドアが閉められ、発進してしまった…。

「制服姿の美由チャンも可愛いねぇ♪」
「自称飼い主、腰から手ぇ離してよ。」

ヘラヘラした返事が返ってくると思ったら…

「ねぇ。どっちが立場上か分ってるのかよ？俺は飼い主だぜ？お前の。」
「っ…。」

いきなり自称飼い主の膝の上に引き上げられ、あごをつかまれる。
そんなに綺麗な顔が目の前にあったら女の子は誰でも顔赤くなるよ…。

「いい？美由。俺はお前の飼い主なの。逃げられる訳がないんだからね…？」
「は、はぃ……。」
「後、俺の事は自称飼い主とかクソ野郎とか呼ばないで、裕樹って呼ぶこと。」

ここでハイって言わなきゃ後が怖いしな…。

「はい…。」

怖いよ、裕樹さんの目が。
不思議な光持ってて、吸い込まれそうで。
どの目よりも、強い意志を持ってて。

気が付いたらアタシは涙目になっていた。
怖くて、怖くて、怖くて。
だんだん体も震えてきた。
肉食動物に狙われた時の草食動物ってこういう感じなのかな？
って、アタシって草食動物だっけ？