そんな俺の彼女
やっと本殿に辿り着いて、お賽銭を賽銭箱に入れる。
隣では実里もお賽銭をして、手を合わせている。
「戸田くんは、何てお願いしたんですか?」
お参りが終わったあとに人の少ない場所に出ると、実里がそう聞いてきた。
「……実里は、何お願いしたの」
「私は、これからもずっとずぅーーーっと戸田くんと一緒にいられますように、って。あと、戸田くんがずっと健康でいられますように、って」
「っ、」
……バカでしょ、この人。
何で俺の事ばっかり。自分の事願いなよ。
実里はにこにこしながら、俺を上目遣いで見てくる。
「じゃあ、戸田くんは?」
「………内緒」
「えぇーっ!? 戸田くんのケチの助っ!」
「ふはっ」
……“これからもずっと、実里が俺の隣で笑ってくれますように。”
こんな事、言えるわけないでしょ。
俺をこんなに好きにさせたのは、実里が初めてだから。
だから、俺のこれからの初めては、全部、実里と一緒がいい。
何をするにも。どこに行くにも。
…何てこんな事を思ってる事を知ったら、実里は引くかな。離れるかな。
でも、ごめん。
俺、実里を離す気、さらさらないから。
「…好き」
「っ!」
だから、これから何があっても、ずっと、隣にいなよ。
〈END〉