♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
────その後の撮影は、さっきまでのことが嘘みたいに、楽しくて。
スタッフさんも、私のいきなりの変化に驚いていた。
私は魁星くんと手を繋ぎ、ベンチに座りながら
お喋りをする。
「お!いいね!その表情!!」
……私はどんな顔をしているんだろう。
繋がれた右手はポカポカと暖かい。
──勇也……
多分、とても幸せそうな顔。
だって、勇也と手を繋いでるなんて、こんな幸せな事はないんだから。
私が憧れていた光景。
いつか、勇也とこんな風になれたらな、って考えていたの。
それが今…(私の頭の中でだけど)叶ってる←
「すごいね…あの2人」
「本当のカップルみたいじゃん!」
周りがそうヒソヒソと話しているのが聞こえる。
「……楽しい?」
魁星くんは私の目をじっと見つめたまま、聞いてきた。
最初なら、帰りたい、と答えていたかもしれない。
水着だし、デート特集って聞いて、
正直、すごい嫌だった。
でも………
「うん!魁星くんのおかげっ!!!」
「っ……!」
今は、こんなに笑顔で答えられるほど。
私がニコッと笑うと、魁星くんは少しだけ、顔を赤く染めた。
そして、「アイツのせいかよ…」とボソッと呟くと……
ぎゅっ。
「「キャーーー!!」」
魁星くんは、私を抱きしめた。
周りからは黄色い悲鳴が上がった。
現実には目の前にいるのは魁星くん。
でも……私の頭では、魁星くんじゃなくて勇也で。
だから、私は勇也に抱きしめられていると思って─────