♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
ずるいずるいずるい。
そんな、手を握って言われたら……。
それに、何?あの顔は!
あんな顔して言われたら…、期待するよ?
勇也も、私と同じ気持ちなんじゃないか、って。
それはないって分かっていても、無理。
勇也は、私が好きなこと知ってるのかな。
チラっと勇也を見ると、まだ私の手を握ったまま俯いていた。
………っていうか、完全に忘れてたけど、
勇也に手を握られているんだったー!!!
さっきまで考えていたことなんて、どこかへ行ってしまい、
私の全神経が右手に集中する。
こ、この手ってどうするべき?!
振り払うの?……でも、そんなの嫌だし。
このままにするの?……それも、何か変だし。
どうしよう、と考えている間に汗が出てくる。
──やばい。このままじゃ手汗が……!
「ゆ、ゆゆ勇也!とりあえず、有紗も待ってるし……帰ろ?」
私があたふたしながら、そう言うと、勇也は私をじっと見た。
そして少し考えてから、「それもそうだな」と呟くと、パッと私の手を離した。
離された瞬間、ホッとする気持ちと、
もっと繋いでいたかった、という気持ちが混ざる。
でも──
「水野。帰るよ。」
勇也がそうやって、振り返りながらほほえむから…
「うんっ!!!」
別にいいかな、なんて思ってしまう。
そして、私は勇也の後ろを付いて行った。
「広瀬 勇也、ね─────…」
西園寺さんが、遠くからそう呟いていたのも知らずに───