♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「ぅ、わっっ?!……って、水野か。」
あぁ、びっくりしたー……。
心臓を落ち着かせる俺を見て、水野はえへへっと笑う。
…可愛いな、馬鹿。
ふいに高鳴った俺の心臓。
さっきとはまた違う方で、ドキっと胸が鳴る。
「撮影 終わったよ?」
水野は、帰ろ?と俺の顔を覗き込みながら言う。
"撮影”。
その言葉を聞いて、俺はまた不機嫌になる。
……へぇ、撮影終わったんだ。
────………
また、あのシーンが浮かんでくる。
──ムカつく。
「そう、お疲れ。
──楽しい楽しい撮影が終わって残念だったな。」
気付ば、そんなことを口走っていた。
俺のその言葉に驚いて「ゆ、うや?」と聞き返してくる水野。
明らかに動揺している。
「どうしたの?」
「別に。普通に楽しそうだったじゃん。」
「楽しかった、けど……、」
「やっぱり。 手繋いだりとか、普通だったし。」
「あれは……」
──あぁ、もう嫌。
自分で言って、思い出してしまう。
でも、このどうしようもないイライラはどうしたらいいんだよ…。
「相手があんなにカッコイイ人で、良かったな。」
──やめろ。
「俺といるより、アイツといる方が楽しいんじゃね?」
──こんな事が、言いたいんじゃない。
「ほら、行けば?アイツ、帰っちゃうけど?」
──嘘。アイツの所になんか、行くな。
思ってることとは正反対に動いてしまう、俺の口。
「───勇也、」
水野は、神妙そうな顔で口を開いた。
……あぁ。ついに俺も、呆れられたかな。
嫌だよな、こんなやつ。
「もしかして……
ヤキモチ…、ですか…?」