♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
──え?
……「好きな、人?」
「うん。」
私を真っ直ぐ見て、はっきりと言う勇也。
心地よい風が、私の髪を揺らす。
……どうしてだろう。
何だか、胸がざわつく。
それは、不安とか失望とか、そんなのじゃなくて。
どちらかと言うと、……期待、に近くて……。
ドキドキと動き出す私の心臓。
わ、私、落ち着いて。
何でドキドキしてるの!
勇也は…、私の事を好きなんて言ってないじゃん。
そう必死に言い聞かせるけど、
私の鼓動は早まるばかり。
”もしかしたら、勇也も私のこと…?"
…なーんて期待だけが募っていく。
だって、どの子よりも、勇也との距離が1番近いって、思うから。
「…水野は、何で断ったんだよ」
「わ、私は…!」
私が黙々と考えていたら、
勇也は少し気まずそうに、私にそう尋ねる。
「好きな人が、いるから…っ」
……あぁ、ダメ。
心臓が止まりそう。
肩に変な力が入るのが自分でもわかる。
「……そうなんだ。」
…私が、そう言うと、目を見開き、勇也の頬はそーっと赤くなっていく。
……ねぇ、もしかして、
勇也も私と同じこと考えてる…?
だから──……
そんな顔で、私を見るの?
決意に満ちた瞳に、少し不安そうに下がっている眉毛。
その、真剣な表情。
……不思議だね。
この空間の時間が、止まっているみたい。
何だろう、この感覚。
夢の中にいるような…。
緊張で、手が震える。
でも、決して、嫌なものではない。
勇也は、ギュッと拳を握ると。
「──水野。」
その愛しい声で、名前を呼んだ。