♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
そんな目の前の天使は、
頬を染めながら言う。
「私…、広瀬くんに告白しようと思ってるの!
…最初は、水野さんと付き合ってると思ってたんだけど、
違うなら私にも可能性はあるでしょ?」
「あはは…そうだね」
こんな話を聞かされても、私には笑うことしかできない。
チクリ、と胸が痛くなって、
思ってることが顔に出ないように、必死に笑みを浮かべる。
──…何してるんだろう、私。
どうして、「私も勇也が好き」って言えないんだろう。
「だよね!ありがと!! 私、頑張るね♪」
「うん!応援してるからね!!」
その子は笑顔で私に手を振り、廊下をかけていった。
「はぁ……」
そして、その子の姿が見えなくなった瞬間、
暗い表情に変わってしまう、私。
──応援してる、なんて嘘。
本当は、やめてって心の中で叫んでるんだ。
あの子も言っていたように、
勇也が誰かと付き合う可能性は、十分にあるわけで。
──”今度こそ、付き合うんじゃないか"
いつもそう思って、付き合わなかったって聞いて、安心する。
その繰り返し。
夏休み以来、勇也の人気は留まる事を知らない。
それどころか、むしろ増えてきている。
朝も昼休みも放課後も、勇也はあっという間に女子に囲まれて、どこかへ連れて行かれるんだ。
噂では1週間だけで、もの凄く告白されてるとか。
…私と、勇也が話す時間なんて1秒もない。
「あ、由莉いた。」
「有紗………」
ジュースを買いに行ってから、全然帰ってこない私を心配したのか、
自分と私のお弁当を持って、迎えに来てくれた。
「うん…ごめんね。」