♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
西園寺さんに連れて行かれ、
カウンターの席に座って、適当にメニューを頼んだ。
夜10時を過ぎているからか、お客さんは私と西園寺さんくらい。
とても大人っぽい雰囲気のお店で、私1人では決して入れないだろう。
キョロキョロと周りを見ながら、私は西園寺さんの隣に座る。
椅子に腰かけた西園寺さんは、一息ついてからこう言った。
「それで、どうなの?──広瀬 勇也くんとは。」
うーん、勇也の話か。
ちょうど私もモヤモヤしてたし、西園寺さんにも話を聞いてもらおう。
「それが今日 勇也に───……って。」
──いや、ちょっと待って?
「どうして勇也だって知ってるんですか?!!」
ふと、疑問が思い浮かんで、
私はバッと西園寺さんの顔を見て、問いただす。
前に好きな人ができた的なことは話したけど、
それが勇也だなんて話 一つもしてない!!
「今さらね、momo。そんなの見てればわかるわよ?」
「み、見てればっていつ…!」
「あら、夏休みに連れてきたじゃない。忘れちゃったの?」
「あ。」
と、西園寺さんに言われて思い出した。
そうだった……、夏休みに西園寺さんと勇也は面識済みだった。
「…じゃあ、その時からずっと知ってたんですか……?」
「もちろんよ。」
私は、はぁーっとうなだれる。
西園寺さん、知ってたんだ……。
「あの子、すごいわね。
1回載っただけで、多くの会社がこっちの世界に入れようとしてるもの。」
「へ、へぇー……」
そんなに凄かったんだ。
あの、雑誌の影響は。
「まぁ、もちろん全部 断ってるみたいだけどね?」
「そうですか…」
勧誘も来てたなんて…、そんな話 1回も聞いたことないよ。
「momoは顔にすぐ出るわ。
──今日のことだって。」
そう突然言われて、私の心臓はどきっと跳ねる。
今日のことって、撮影の話だよね……?
「え、えっと……」
たらり、冷や汗が背中を流れる。
「他のスタッフさんには気付かれていないと思うけど、私からしたらお見通し。
終始、完璧な作り笑いだったわね。」
「すいません……。」
西園寺さんが言ってることが図星すぎて、言い返す言葉もない。
「いや、別に怒ってるわけじゃないのよ?
…ただ、私で良ければ話でも聞くのに、って。」
……本当。
西園寺さんは何でもわかってる。
これが、大人なのかな?
その、いつもどこかに余裕がありそうな雰囲気は、
周りにいる人までも虜にさせて。
「実は……」
その優しさに、つい甘えずにはいれなくなってしまうんだ。