♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
有紗と話してるうちに、気付けば学校の教室に着いていた。
勇也は………、まだ来てないや。
チラっと隣の席に目をやると、まだかばんが置いていなかった。
教科書やノートを机の中に詰め込んで、
私はいすに座る。
はぁ〜っ……、今日か。
何て言ったらいいんだろう。
っていうか、いつ言ったらいいの?
昼休み?放課後?いけそうな時?
あぁーっ!!!もうわかんない!!
とりあえず、トイレにでも行ってこようかな……。
そう思って席から立った瞬間。
「「キャーーー!!!」」
「っ?!」
何事?!
廊下の方から聞こえてくる黄色い声。
そのあまりにも大きい声に、思わず耳を塞いでしまう。
あのー……私、トイレ行きたいんだけど…。
これじゃあトイレ行けないじゃん。なーんて考えていたら。
「広瀬くんよっ!!」
「やっぱり今日もカッコイイね!!」
──ドキッ。
”広瀬くん"。
その名前を聞いて、反射的に心臓が飛び上がる。
ゆ、勇也かぁ……。
どうしよう。
昨日あんなにひどいこと言っちゃってるし、今日 告白しようと思ってるし、
どうしたらいいのっ?!
……私が一人であたふたしている間にも、
女子様の注目の的である勇也は、この教室に近づいてきていて。
「あ………」
ついに、教室へ入ってきてしまった。
そして、勇也が向かう先は、もちろん自分の席……、私の隣で。
私は動くこともできずに、勇也がこっちへ向かってくる様子を見ているだけ。
徐々にこっちの方へ近づいてくる勇也。
───バクバクバク。
心臓が脈打っているのがよくわかる。
……おはようって、言わなくちゃ…!!
「お、」
ダメだ、緊張する……っ!!!
「おはよ……」
う!と、言おうとした時。
すっと勇也は私の横を無表情な顔で通り過ぎた。
………嘘。
勇也は、私を無視して、そのまま自分の席に座った。
勇也が席に座るや否や、たちまち女子が集まってきて、勇也の席を取り囲む。
「……───」
私は、その場に呆然と立ち尽くした。
……え?どうして。
勇也、完全に無視したよね?
私に、気付いてたよね?
「…………っ!」
目にハートマークを浮かべた女子の真ん中にいるのは、勇也。
その姿を見ていると、無性に悲しくなってきて。
───バッ
「は、ちょ……っ?!!」
──私は、みんなを掻き分けて、真ん中にいる勇也の腕を引き、
廊下へ走り出した。