♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「…水野!!」
──いやだ。
「水野って!!」
───…いやだ。
私は勇也の腕を引きながら、ひたすら走り続けた。
途中、いろんな人に見られて「何あれ?!」とか「どういうこと?!」とか言われたけど、
私は下を向いて走っていた。
誰も使わないような教室の前に来て、私はようやく足を止めた。
「はぁっ……、どうしたんだよ…」
相当 走ったせいで、私も勇也も息が上がっている。
でも、今の私にはそんなことどうでも、良くて。
「…っ、ごめんな…さい。」
「は?」
「昨日、あんなこと言って、ごめんなさい……!!」
「……」
──ただ、この一言が言いたかった。
怖くて、勇也の顔が見れない。
自分でひどいこと言って、勇也を傷つけたのはわかってる。
けど………
「私…っ、勇也と喋れなくなるのは嫌だよ……っ」
…勇也に、嫌われたくないの。
頭の中がぐちゃくちゃになって、声が震える。
「水野」
「関係ないとか言って、ほんとにごめん……っ!!」
勇也の言葉を遮って謝った時、とうとう涙がこぼれ落ちた。
勇也は、その廊下に落ちた私の涙を見て、はぁ、とため息をついた。
──…みっともない。私。
どうして、私が泣いてるの。
ため息までつかれちゃったよ…。
こんなの、さすがに嫌いになるよね…。
私が、悲しくて拳をぎゅっと握った時───
「お願いだから………泣かないでよ」
その言葉と同時に、私の腕は引かれ、
ぽすっと勇也の胸に飛び込んだ。
そして、勇也の香りに包まれる。
突然の出来事で、私は言葉も出なかった。
「ごめん。俺も──どうかしてた。」
そう言いながら、私の髪をなでる勇也。
「ゆっ、勇也…!」
この状況をようやく理解した私は、
またバクバクと心臓が鳴る。
ど、どうしよう。
どうしてこんな事になってるの?!
勇也は腕の力をふっと抜き、私の肩を持ち、真っ直ぐ向いて話し出す。
「…授業 サボった時、他の男といてたかと思って、水野に八つ当たりした。」
「え……?」
気付けば、涙は止まっていて、私の頬は赤く染まっていく。