♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「すごいね、広瀬の人気。」
伊集院はそう言いながら座る。
「…そりゃどうも。」
俺も伊集院の隣に座った。
……そんないい気はしないけど。
すると、伊集院は神妙な面持ちでこう言った。
「広瀬、知ってるの?──由莉のこと。」
「水野…?」
…水野、何かあったのか?
伊集院は俺から視線を逸らし、
「……由莉を狙ってる男子が爆発しているわ。」
と、何やら意味がわからない発言をした。
「はぁ?」
「由莉、告白され放題よ?」
「何で…」
いや、前から水野はモテていたけど。
…そういえば、前に告られてるの見たな…。
それが増えてきているってことか?
「多分だけど…、由莉は広瀬と付き合っているってみんな思っていたんじゃない?」
「付き合ってるって…」
「だけど、あんたは女子に囲まれて由莉は何のガードもないわけ。」
「っ!」
…何だよ、それ。
俺が知らない間に、水野は色んなやつに狙われるって?
「…ま、好きならしっかりしなさいよ?」
じゃーね。とそれだけ言って、伊集院は屋上を出ていった。
誰もいなくなった屋上で、俺はどうしようもないイライラした気持ちに襲われる。
「くそっ………」
水野がそんなことになっているなんて、考えていなかった。
そして、青く綺麗な空を見ながらふと思う。
──あぁ、水野と喋りたい。
これで何日目だ…?
いつから喋らなくなった?
男子も、勝手に水野に近づいてんじゃねぇ…。
──…水野も、簡単に着いていくなよ…。
男は何をし出すかわからない。
その事を絶対、水野はわかっていない。
…周りの女子なんてどうでもいい。
俺は、水野がいたらいい。
なのに、今の俺は水野の近くに行けない。
──…そんなやるせない思いが募っていた時、
俺はついにやってしまった。
──「関係ないじゃん!!」
水野が授業をサボった時、
何をしていたのか聞いても、水野は答えない。
…何で答えてくれないの。
…やっぱり男に呼び出されていたんだ?
そんな不安に覆い尽くされて、水野が泣きそうになっているのを知りながら、
俺は詰め寄ったんだ。
そして、突き放された。
──あぁ、俺は何をしているんだろう。
水野は、俺のものでも何でもない。
水野からしたら、俺はただの友達だ。
なのに…、勝手に嫉妬して。
もう、まともに話せる自信がない。
俺は、その後、水野と一言も話さず、家へ帰った。
いつもついて来る女子にも「今日は、ついて来ないで。」そう、初めて強く言った。