♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥



その日の夜 俺はずっと考えていた。



──どうしたら、いいのか。


正直、水野にあぁ言われて、すごい凹む。



けど、ようやく目も覚めた気がした。

俺が今できる、ただ一つの事……。



待っているだけじゃ、何も変わらない。



「はぁ………」

明日、か───。






そんな気持ちで迎えた、次の日の朝。



またいつものように、女子に捕まってしまい、
俺は囲まれながら教室へ。


…もう、いい加減取り囲むのやめてくれ。




ガラッ───。




教室のドアを開けて、自分の席へと行く先には早速、水野の姿。


水野は俺を見ると、ギュッと眉を寄せて
俺に何かを言おうとしていた。



「お、」



──どくんどくん。


…やばい。どうしたらいいんだ?

俺は、何て言えばいい?


急に足を止めるわけにはいかない。

平然を装って歩く俺。



「おは……」


水野がそう言いかけた時。




──スッ。



…俺は、何も言うこともできないまま、水野の横を通り過ぎた。

そして、席へと座る。





あ……。

やってしまった、と思った時には、また女子に囲まれて。


水野の姿はここから見えなくなっていた。



…水野が何かを言おうとしていた事に気付いていながらも、俺は何もできなかった。


何やってんだよ、俺。



「……だっせぇ。」



そう、片手で顔を覆い、呟いた。


「広瀬くん?どうした…」

の?と誰かが言おうとした瞬間。




───グイッ。


「は?……ちょ!!」


誰かに思いっきり腕を引っ張られ、体が勝手に動いていく。



誰だよ……!



そう思って、俺の腕を引いている張本人を見たら。


「え……?」



いや、待って。

何これ?



何で──…、水野が俺の腕を引いてるの?




水野、と呼んでみても何も言わない。



ただ、必死に俺を引っ張りながらどこかへ走っていく。




そして、誰も使っていないような教室の前に来ると、ぴたりと足を止めた。




「はぁっ……、どうしたんだよ…」


俺は上がった息を整えながら、落ち着いてそう言った。


…マジでどうしたんだ?



「…っ、ごめんな、さい…。」



俺はてっきり、水野は怒っているのかと思った。

けど、水野から聞こえてきたのは、
とても弱々しい言葉で。



俺がボーッとしてるうちに、水野はずっと謝っていた。


そして、最後に
「私…っ、勇也と話せなくなるのは嫌だよ…っ」と。



目の前の彼女は、目に大粒の涙を浮かべながらそう言ったんだ。



その表情を見たときに思った。



──…こんなの、反則だろ?



そして、俺は彼女に手を伸ばす。





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