♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「そういや、何でここにいんの?隣のクラスじゃなかったっけ?」
それに、神崎1人だし。
誰かを待ってる様でもなさそうだし。
何しに、この教室に入ってきたんだ?
「あの…それは…」
と、そこまで言うと、口をギュッと結んで下を向いてしまった神崎。
「神崎?」
「…っ!グラウンドから広瀬くんらしき人が見えて…
それで……ダメ元で来てみたら、本当に、いて………」
と、言いながらどんどん声が小さくなっていく神崎。
俺は、目をパチパチさせながら、徐々に赤くなっていく神崎の顔を見ているだけ。
いや、待って。
これはどういうこと?
神崎の言葉といい、表情といい…これじゃまるで────
「…………私、広瀬くんが、
好き…なの……」
「…っ。」
窓から入ってくる夕日の光が、神崎を照らし出す。
まさかだった。
神埼は清楚な感じだし、いつも付いてくるような女子たちとは違っていたから。
「え、ほんとに…?」
神埼が、俺を?
どうして?
「うん。──私は、広瀬くんが人気になる前からずっと…ずっと好きだった。」
そう言って、彼女はまた下を向いた。
──そのきめ細やかな肌と、美しくつやのある髪。
伏し目がちな目には、長いまつげがかかっていて。
──…本当に、美しい。
周りにとても気遣いができて、自分の嫌なことでも何も言わずに引き受ける。
こんな人に好かれるなんて、もう2度とないだろう。
そう、心から思った。
「──…神埼。ありがとう。
──それと、ごめん。」
…そう思うのに、いつも浮かんでくるのは水野で。
俺がそう頭を下げると、神埼はふふっと笑った。
「ううん。わかってたから。」
そう彼女は俺を見て、眉を下げて切なそうに笑った。
「…ごめんな」
神埼をこんな悲しそうな顔にしているのは、俺か。
気付いてないふりをしてるけど、神埼の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
…でも、やっぱり、俺には水野しか考えられないんだ。
神埼は、「大丈夫」と言いながら、また話を続ける。
「広瀬くんはわかりやすいもん。──今 待ってるのだって…、水野さんでしょう?」