♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
そう、神崎が言ったとき、本当に驚いた。
…どうして。
俺は水野を待ってるなんて、一言も言ってない。
神崎は図星でしょ?とでも言いたそうな目で俺を見つめる。
「…まぁ、うん。……何でわかったの?」
「顔に出てるから。」
「え、俺ってそんなに出てる?」
それはちょっとやばいぞ…。
「…広瀬くんを好きならわかるわ。……嫌なくらいねっ」
「──…。」
" 嫌なくらい ”。
神崎のその言葉からは、今までどれだけ辛い思いを抱えていたか、言われなくてもわかる。
「…ごめん。」
俺には罪悪感でいっぱいになって、とっさにそう謝った。
…好きな人がいて、だけどその人にも好きな人がいて。
見ればわかってしまうくらい、その人は自分じゃない人を好きになっている。
…俺がそんな立場だったら、絶対に耐えられないだろう。
水野が俺以外のやつと嬉しそうに喋ってて、
俺なんてこれっぽっちも見てくれないなんて。
「あ、今 水野さんのこと考えてたでしょ?
「っ…!!」
「やっぱりね♪」
「ごめん…」
何だ、神埼には全部 お見通しってわけか。
つーか、目の前に神埼がいるのに…、何やってんだよ、俺。
恥ずかしすぎるし。
「そんなに謝らないでよ」と神崎は
笑みを浮かべながら言って。
水野が教室を出て行ってから、30分が過ぎようとしていた時。
今 座っている席からは、部活をしている生徒や、
友達と笑い合いながら帰っていく生徒が見える。
神埼は、ふぅーっと、一呼吸 置くと口を開いた。
「…ねぇ、広瀬くん」
「ん?」
俺が顔を上げると、彼女は俺の目を真っ直ぐ捉えて。
外の音なんて、聞こえない。
それくらい、この教室はしんと静まり返っていて。
そんな中、神埼は優しく微笑んで
「最後にはっきりと聞かせてほしいの。
──水野さんのこと…、好き?」
天使が泣いているかのように美しく、そう言った。