♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
神埼にそう言われた瞬間、頭をよぎったのは水野の笑顔。
『勇也!!』
そう、無邪気でキラキラした笑顔で呼ぶ水野の顔。
いつもその笑顔を見る度、俺の心臓が危ないことになっているのを、
水野はきっと…いや、絶対知らない。
…でも、そんな所が好きなんだ。
──もう、全部が好き。
”愛おしい"。
その意味がようやくわかってきた気がして。
正直、今 待たされてるのだって、そんなに嫌じゃない。
早く来い。
そう思ってる時間がやけに心地よい。
──いつから俺は、こんなに水野を好きになっていたんだろう。
自分でもわからない。
多分、かなり重症。
そして、また思い出すと、思わず笑みがこぼれて。
心の奥まで暖かくなる。
──あぁ、ダメ。
俺は、水野に敵わない。
「──うん。……好きだよ。」
……神埼、ごめん。
でも、やっぱり俺は、水野が好きなんだ。
「ふふ。やっぱり。」
参ったな……なんて言いながら、笑う神埼。
そんな神埼につられて、俺も笑った。
あぁー…まじで何だこれは。
何か 妙にに恥ずかしくなってきたし。
これは、神埼に責任取ってもらおうか……。
と、顔をあげた時。
視界の端に、人影が映った。
俺は、その人物がわかった瞬間、
「水野……?!!」
…あまりにも驚いて、ガタッと立ち上がってしまった。
「水野、さん…?」
神崎もびっくりしているようで、途切れとぎれになりながら、
水野の名前を呼ぶ。
それに対して水野は、ドアの近くで、
ただ俺たちをボーッと眺めているだけ。
……水野、来てたのかよ…。
来たなら言ってくれればいいのに、
と思ってハッとなった。
──ちょっと待って。
ここにいるってことは……
「さっきの話……、聞いてた…?」
「…………ぁ、あは」
俺としっかりと目を合わさず、困ったような、そんな顔をしている水野。
「まじか…」
聞かれてたか。
そりゃ、あんな普通に話してたら聞かれてて当然なんだけど…。
って事は、俺が水野の事好きだって、知ってるんだよな…?
チラッと神崎を見ると、「どうするの?」と俺に問いかけてきた。
その表情は、” 告うなら今よ "と言っているような目で。
れに背中を押されたように、俺が「水野。」と呼ぼうとした時──
「…あはっ、ごめんねっ。邪魔物は…帰る…から……」
「は?……水野?」
──なのに、水野はなぜかそう言って、背中を向けて、出ていこうとする。
…何か、水野がおかしい。
さっきから、焦点だって合っていない。
顔色だって悪い。
「待てって!!──水野!!」
…俺のそんな言葉も無視して、ダッと走って行ってしまう水野。
「え……」
…その時見えた水野の瞳には
──涙が浮かんでいた。
…水野。どうして、泣いてるの?