♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「───……」
勇也に手を捕まれた瞬間、 捕まってしまい、
諦める気持ちと同時に、私の目には うっすらと涙が浮かんできて。
……どうして?
追いかけて来ないでよ…。
──…神崎さんと付き合ってるくせに。
「…てきていいの?」
「え?」
「~っ神崎さん!!置いてきていいのって!」
私は勇也を振り返る事もなく、そう声をあげる。
…もうやだ。
私、何言ってるの。
失恋したからって、こんなのない。
自分で言って、私の胸に残るのは虚しさだけ。
こんな私が───…本当に嫌い。
するりと頬を伝う涙。
それはそのままぽたりと地面に落ちる。
「…水野は、勘違いしてるよ」
そう言って、勇也は私をつかむ腕に力を入れる。
だけど、そんな事 信じられなくって。
「何が違うの……っ?」
勇也は私の気持ち知ってて、そう言ってるの?
…なら、そんな同情いらないよ。
すると勇也は、はぁ…とため息をついた。
「来て。」
そして、私の手を握ったまま歩き出す。
「え……?ゆ、勇也…?」
「──…」
私が呼んでも、勇也からは返事がない。
……勇也、怒ってるの?
どうして?
──…私、わからないよ。
何が本当で、何が嘘なのかも全部。
勇也が今、……誰を想っているのかも。
───そうして連れてこられた所は、近くの公園。
ブランコの前まで来ると勇也は、ここに座るようにと私を促す。
ギクシャクしつつも、ブランコに座ると勇也は、私の鞄を差し出した。
「あ……、ありがとう」
「ん。」
「…持って来てくれたんだ」
…さっきまでそれどころじゃなくて、何にも思っていなかったけど、
勇也はちゃんと、私の鞄まで持って来てくれていた。
ただそれだけのことで、また涙が出そうになる。
……こうやって、優しいからみんな勇也を好きになるんだよ…。
───でも、私の恋はもう今日で終わりなんだ。
「当たり前じゃん。……荷物も持たずに出ていって。」
──どくっ。
「ご、ごめん…」
どうしよう。
心臓がうるさい。
まだ、心の準備が出来ていない。
勇也の口から、その言葉を聞くのが、どうしようもなく怖い。
だって………
聞いてしまったら、本当に終わりな気がするから。
「水野。……話、させて。」
勇也が静かにそういった時、私はギュッと目をつぶった。
──泣かないように。
笑顔で、おめでとうって言ってあげられるように。
だけど………
「──俺、水野しか好きじゃないから」
「……………へ?」
勇也の口から出たのは、思いもしない言葉だったんだ────…。