♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「へぇー…、昨日だけでそんな出来事があったのね…」
有紗は、少し驚きながらも、黙って私の話を聞いていた。
話しているうちに、同じ学校の人もチラホラと見え始め、
あまり勇也の名前を出さないようにした。
…本当はみんなに言いふらしちゃいたいくらい嬉しいんだけどね!
そして、気付けばもう、校門を通過していて。
そのまま、有紗と話しながら靴箱へ向かうと、有紗は「あっ」と、声をあげた。
「?」
何だろう……と、有紗が見ている方へと顔を向ける。
「ーっ……!!」
そう。
私たちが向かっている靴箱には、勇也がいた。
いつもと変わらず、少しだるそうな勇也。
私たちが見ていると、勇也は視線を感じたのか、ふっとこちらへ顔を向けた。
その動作が、とてもスローモーションに見えて、
勇也と目があった瞬間、うるさいくらいに心臓が動き出す。
「おはよう、由莉」
勇也は私を見るなり、優しく笑ってそう言った。
「お、おはよっ!」
私は下を向いたまま、勇也の所へと駆け寄る。
勇也の顔、直視できないよ~……。
それに、" 由莉 ”って……。
考えるだけで顔がボッと赤くなって、心がくすぐられる。
「聞いたわよ、広瀬?」
すると、有紗はプッと口元を手で押え、ニヤニヤしながら近づいてきた。
「ん。伊集院には世話になったわ。」
勇也は照れくさそうにに頭を掻きながら、そう言った。
……ん?世話になったってどういうことだろう?
「うふふ…、私ったら恋のキューピットね♪」
「いや、もうほんとに。ありがとな。」
「2人とも、うじうじしちゃって…、どれだけ大変だったか…」
と、私を挟んで会話している、勇也と有紗。
あのー……、これって……
「有紗は勇也の好きな人も知ってたの?」
「ん?当たり前じゃない。」
え……。
「えぇーっ?!!」
びっくりしすぎて、思わず大きな声で叫んでしまう私。
嘘?!
有紗って、知ってたの?!
「そんなの、広瀬見てたらすぐにわかるし、広瀬からいろんな相談もされ……」
「ちょっ!伊集院、言うなっ!!!」
有紗がそう言いかけた上から、私に聞こえないように慌てて言う、勇也。
顔が真っ赤で、眉を寄せて怒っていた。
そんな勇也に対して、「言っちゃダメだった?」と、いじわるそうに笑っている有紗。
そのやりとりを見て、
勇也って本当に私のこと好きだったんだ…。
と実感し、また恥ずかしくなる。