♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「あ、来たよ!!」
「やっぱ手繋いでるじゃん~」
ザワザワ……
私たちが来た瞬間、静かだった廊下は一気にざわつき出した。
窓の間から覗いたり、ヒソヒソと話しているのが聞こえる。
す、すごいな…。
噂ってこんなにもすぐに回るんだ…。
まぁ、あんなにも堂々と宣言しちゃったら、仕方ないよね。
…にしても。
視線が……痛い。怖い。
もちろん、女子からの。
私はみんなの方を見るのは怖いから、小さくなりながら、教室へと向かう。
勇也はいつも通り、私の手を引く。
…勇也は、注目されることに慣れてるのかな。
「由莉~、おかえりなさーい」
教室のドアを開けた瞬間、私のよく知っている声が聞こえた。
「有紗!!」
急いで、私は有紗の元へと駆け寄る。
「聞いたわよ~?朝、すごかったのね」
机に頬杖をつきながら、うふふと笑う有紗。
「もう、ほんとに大変だったんだよー……」
「何 言ってるの。私だって大変だったわよ」
「有紗が?」
「そう。みんな、顔の色変えて、私に聞きに来たのよ?『広瀬くんと水野さんって付き合ってるの?!!!』ってね。」
「う………」
あ、有紗にそんな事があったのか…。
顔の色変えてって……。
あぁ、想像しただけでも恐ろしい。
「広瀬も、やるわね」
と、今度は勇也に話を振った有紗。
「あれくらいしないと、いつ狙われるかわかんねぇし」
「ま、由莉だもんね」
何やらよくわからない話をしてから、
ゆっくりと私に視線を向けた。
「え、私……?!」
私がそう言うと、2人は眉間にしわを寄せた。
「おかしいな…俺、ちゃんと言ったんだけど。」
「見てる限り、伝わってないわよ。」
「2人とも、何の話してるの?」
だけど、2人は私のことなんて、無視しながら話す。
「まぁ…、頑張って。何かあったら、私も手伝うから。」
「あぁ、伊集院いてくれて助かる。」
「ね、だから何のはな…「1時間目始めるぞ~、席に着け~」」
「じゃ、そう言う事だから。」
ちょうどいいタイミングで先生に邪魔され、
私は渋々座ることに。
──結局、あのあとも何も教えてくれなかったけど、
とても幸せだった。
休み時間に何人もの子に、「広瀬くんと付き合ってるの?」って聞かれて、大変だったけど…。
神崎さんは、「おめでとう」と笑顔で言ってくれた。
「……おやすみ」
寝る前、階段で撮った写真を見て、
幸せな気持ちで眠りについたんだ。
……終わりが来るとしたらいつだろう?
───幸せは、まだ、壊れない。