♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「だって…!あの、Venus. ですよ?!」
「うふふ…知ってるわよ。」
嬉しすぎて、西園寺さんに抱きついたまま飛び跳ねる私。
西園寺さんは、やれやれと言ったように笑って、一緒に喜んでくれた。
「そうだmomo。広瀬くんにもご報告したらいいんじゃない?」
「えっ。……あ、そうします//」
「momoは幸せ者ね」
幸せ者……。
確かに、私は本当に幸せなのかもしれない。
大好きだった勇也とも付き合えて、
おまけにVenus.の商品もプロデュースさしてもらえる。
もう、これ以上幸せなことってない。
「幸せ……です。」
そう言って私は微笑む。
私は、こんなにも幸せでいいんだろうか。
「…だけどmomo、気を付けなさい」
さっきまでの西園寺さんの笑顔は消え、真剣な表情に変わる。
「何に、ですか?」
「あなたが有名になるほど…、あなたを狙う人は増えてくるのよ」
「?」
どういうことだろう。
私は小首をかしげた。
「…まぁ、私の方で対応はしているけど…。
恋愛に、夢中になりすぎないようにね」
そうやけに、神妙な声で言った。
「?わかりました。」
西園寺さんの言っていることがよくわからなかったけど、
一応、そう返事をした。
すると、西園寺さんはまた私に笑顔を向けて。
「さ、もう暗いし、気を付けて帰りなさい」
そう明るく送り出してくれた。
風が少し寒く感じるようになった頃の秋の夜。
私は空を見上げながら帰っていた。
あぁ、星がきれいだ。
…いや、星だけじゃなくて、周りのもの全部。
キラキラしている。
世界ってこんなに輝いているんだね。
そう思うのは、私の気分が高まっているせいだろう。
…でも、それでもいい。
今、とても幸せだから。
「早く、勇也に会いたいなぁ」
勇也に、今日の話をしたい。
勇也の笑顔が見たい。
…こんなにも想える人、勇也しかいないんだからね?
私はそう呟いて、家へと帰った。
──…あとになってから思う。
西園寺さんからの警告を、もっと早くに気付くべきだったんだって。
『恋愛に、夢中になりすぎないようにね』
この言葉は、幸せでいっぱいだった私に言えた、
西園寺さんなりの精一杯の言葉。