♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
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キーンコーンカーンコーン…
放課後を告げるチャイムが鳴り、ざわざわと生徒たちは動き出す。
私も、教科書を鞄に詰めていたら。
「由莉、帰ろ」
「うん!」
もう、準備がし終わった勇也がやって来た。
…今日は久しぶりに勇也と2人で帰る日。
有紗が家の用事で急いで帰らないといけないんだって。
私が鞄を持って立つと、勇也と私は校舎を出る。
グラウンドにはたくさんの部活が練習に励んでいて
私はその様子を歩きながら見ていた。
「水野さん!」
「?」
…すると、そんな低い声が聞こえて、私と勇也は振り返った。
「あっ、木村くんじゃん!」
「そうっす!」
そこには立っていたのは、ニカッとした笑顔の、野球部の木村くん。
さっきまで練習していたのか、ユニフォームには泥がついている。
──今は休憩の時間なのかな…?
だったら、そんなに長々と話せるわけじゃないや。
「部活、頑張ってね」
そう思った私は、それだけ声をかけて笑顔を向けた。
「はいっ!!じゃあ、行ってくるっす!」
「ばいばーい♪」
そう言って、練習に戻って行った木村くん。
その後ろ姿を見て、木村くんって好青年だなぁ〜と思う。
「あいつ、……誰?」
すると、さっきまで黙っていた勇也は静かに口を開いた。
「野球部の木村くんだよ!」
「木村?」
「そう。」
「何で、仲いいの?」
「んー?この前、いきなり話しかけられて、それから話すようになったの」
木村くんいい子だよ〜と、付け加えた言うと、勇也はなぜかバツが悪そうな顔をした。
「木村以外にも、そういうのあるの?」
「えーっとね…、最近知らない人に話しかけられるようになったかな?」
私がそう言うと、勇也は「まじかよ…」と言って、こめかみを押さえた。
「どうしたの?」
頭でも痛いのかな?
私がそう聞くと、「何でもない」と頭を振って、
また歩き出す。
「あ、待ってよ!」
私が勇也のあとを追うと、勇也は私の方を振り向いて、ん。と手を出してきた。
──えっと……、この手は?
突然 差し出された右手に私は戸惑う。
「……手、つなご」
「えっ!!!」
勇也は少し恥ずかしそうに、お願いするような瞳で言ってきた。
どきーんっと心臓が跳ねる。
それと同時に赤くなる、私の顔。
「でっでも、まだ学校だよ?」
いつも繋ぐとしたら、学校出てからなのに…。
「それでいいんだよ」
勇也はそう言うと、私の手にギュッと指を絡めて私の体を引いた。