♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「…」
「…」
あれからなんとか校門をくぐって、
周りには同じ高校の人はいなくなった。
……ついでに、私たちの会話もなくなった。
あぁ。
やっぱり怒ってるかな…。
そりゃそうだよね。
公衆の面前で、あんな大胆なことしたんだもんね…。
──勇也をチラっと見るけど、何を考えているのかわからない。
そうしているうちに、駅前のカフェが見えてきて。
…私、勇也に嫌われちゃったのかな。
呆れたかな、こんな彼女。
さすがにあんなことされると……嫌になるよね。
次々と嫌な考えが頭をよぎる。
「──…」
「どうした?」
私はカフェの前で足を止めた。
突然 立ち止まった私に勇也が振り向く。
…勇也は優しいから。
優しいから、怒ってるのを口や表情に出さないだけ。
「ふっ…ぅぅ……っ」
「え、まじでどうした?」
そう思うと、涙が溢れてきて。
…何で私はこんな卑怯なことしかできないんだろう。
泣くなんておかしいじゃん。
「由莉?」
勇也は私の顔をのぞきこむ。
私は目をこすって頭を横に振った。
「ごめん、なさい…っ、」
「え?」
「うっ、学校であんなこと…、私…バカだよね…。でも私…」
「いやいやいや。ちょっと待て。」
私の言葉を遮って、勇也が焦った顔をしてる。
「あのさ、もしかしてだけど、俺が怒ってるとか思ってる?」
「……うん。さっきから何も喋ってくれないもん…」
私のこと、嫌いになった…?
そう言いかけた言葉を飲み込む。
私が泣きそうな顔で言うと、勇也ははぁっとため息をついて頭を掻いた。
「由莉、誤解してる…」
「何を?」
勇也は私の手を引いたまま、店内へ入った。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
カランカラン、とドアのベルがなって、すぐに従業員の人が出てくる。
「あ、2人です。」
「2名様ですね。こちらの席へどうぞ」
そう案内された席へと着くと、「座って」と勇也に言われて、
勇也の向かいの席に座る。
適当にメニューを頼むと勇也は伏し目がちに口を開いた。
「えっとさ……俺 怒ってたんじゃなくて、嬉しかっただけだから。」