♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「勇也ー!!!次あれ乗ろうよっ」
「あー……うん。乗る。乗るから、ちょっと休憩しよ?」
「えー」
……ただいま、俺の体はかなり限界。
頭がフラフラして、もう間違えたら吐いてしまいそう。
──どうやら由莉は、大の絶叫系 好きみたいで、
入場してから2時間 以上、連続で絶叫系に乗っている。
いや、俺だって乗れるのは乗れるよ?
…けど、さすがにここまで乗ると限度があるというか。
近くにあったペンチに座って、横目で由莉を見たら、
俺とは反対で、疲れている気配が一つもない。
むしろ、まだまだこれから、と言わんばかりに、
最初より楽しんでいる。
……俺は、今日 由莉に殺されるかもしれない。
そんな危機も覚えつつ、ため息をつきながら目をやった。
「……」
すると俺の目にはある看板の文字が。
その時、思いついたんだ。
「なぁ由莉。ちょっと気分転換に行きたいところあるんだけど。」
「絶叫系ですかっ?!」
由莉は目をキランと輝かせながらそう聞いてきた。
俺は、そんな由莉を見てふと笑って。
「うん。──…さっきよりも叫べる絶叫系。」
怪しげに微笑んだ。
「ほんとに?!じゃあ行こっ!!」
だけど、由莉は俺のそんな思惑に気付いていない。
「行こっか。」
…単純だなぁ、なんて思いながら俺はそこへと向かった。
───…
そしてその場所に着いた時の由莉の顔は、
ものすごく青ざめていた。
…あんなにうきうきしてたのに。
「ゆ、勇也……ここって…?」
「え、見えなかった?───『お化け屋敷』だけど。」
「やだ!!! 絶対 行かない!!!」
俺がそう答えたら、由莉はダッと逃げようとする。
が、俺は由莉の腕を掴んだ。
「……行くよ?」
「やだっ!!怖いっ!!!」
「絶叫系 好きじゃないの?」
「好きだけど、お化けは怖いの!!!」
もうほとんど涙目の由莉を、無理やり連れていこうとする俺。
由莉があまりにも大きな声を出すから、
周りの人からの注目を浴びる。
参ったな…なんて、思っていたら隣から男たちの声が聞こえてきた。
「ちょ、あの子まじで可愛くね?!」
「それ俺も思った!! モデルのmomoにそっくりじゃん!!」
「あとでナンパしようぜ〜」
──は?
おいおい、どこのどいつがそんなこと言ってんの?
と、思いながら周りを見ると、さっき喋っていたやつ以外にも、
周りの男はみんな由莉を、汚い目で見ていた。
──…それもそうだ。
由莉みたいなこんな可愛いやつがだだこねていて、
何とも思わない男なんているはずがない。
「………」
勝手に、俺の由莉を見てんじゃねーよ。