♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
…俺ってこんなに独占欲強かったっけ。
俺がそうやってイライラしてるのにも気付かず、
由莉は必死に逃げようとする。
仕方ない。……奥の手でも使うか。
「由莉が行かないって言うなら、俺帰る。」
「…………。」
ちょっと拗ねた風に言うと、
由莉は一瞬で黙った。
そしてしばらくの沈黙の後「………行く」と言った由莉。
由莉の、その返事を聞いて「よしよし」と俺は頭を撫でる。
──…俺は、本当にずるいやつだ。
由莉はこう言ったら、絶対に行くってわかってた。
だって、伊集院も言っていたけど、
由莉は俺に嫌われたくないらしい。
…嫌うわけないんだけど。
──…俺の方が、由莉を好きだし。
「…手繋ごっか。」
俺は周りの男たちに見せつけるように、由莉の前に手を差し出す。
「…うん。」
すると、由莉は泣きそうになりながら、俺の手をギュッと握り返した。
「……っ」
そんな由莉の行動を見て、胸が苦しいくらい締め付けられた。
……やばい、可愛すぎるだろ。
なんか、小動物みたい。
あーぁ。
周りのやつらも心臓 やられてるし。
「お2人でよろしいでしょうか?」
「はい」
入口の前まで行くと、幽霊みたいな服を着た従業員に案内される。
由莉を見ると、さっきよりも俺の手を強く握って、怯えていた。
…いやまだ入ってないし。
思わず笑いそうになるけど、それを堪えて、「大丈夫だから」と、俺は言った。
ガガガガガガ…
古びたドアが怪しい音を立てて、ゆっくりと開き出す。
「…それではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
──ピシャン。
従業員はそれだけ言うとドアを閉めて、辺りは薄暗くなった。
「ゆ、勇也…もう帰りたい……」
「何 言ってんの。ほら、行くよ」
そう言って俺は由莉の前を歩く。
…正直、俺はお化け屋敷とか怖くない。
むしろ、好きな方だ。
「ぅぁぁぁあ……」
「きゃぁぁぁぁ!!」
物陰から出てくるお化けに由莉は、もう叫びっぱなし。
「由莉、大丈夫?」
俺は暗くてよく顔が見えないけど、由莉にそう声をかける。
「も……やだ……っ」
由莉は声を震わしながら答える。
…あー、由莉 泣いてる。
繋いでいる手も小刻みに震えているのがわかる。
「あと半分くらいだか…「待てぇぇぇぇ゛……!!!」」
ら。と言おうとした時、近くにしたお化けが俺たちの方に走ってきた。
……おぉ。これ、結構リアル。
──俺はふとそんなことを思ったけど、由莉の方は完全にやばい状態で。
「やだぁぁぁぁっ!!!」
「?!!」
──…それは、俺に突然 襲いかかった。