♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「……勇也、ごめんね」
──お化け屋敷から出て、30分ほど経った時、ふいに由莉がそう口にした。
「何が?」
いきなり尋ねられた俺は、由莉が何のことを言っているのか
よくわからなくて聞き返す。
「お化け屋敷で…、すっごい勇也に迷惑かけたよね…?」
あぁ、そのことか。
「大丈夫だから。俺も無理やり入れたのがわるかったし。気にしないで」
俺はそう言って、由莉に笑ってみせる。
──本当は、俺の理性が大丈夫じゃなかったけど。
……とは言えない。
表向きでは、こんな紳士みたいに振舞って…。
俺が笑ったのを見て安心したのか、由莉の顔に安堵の色が出て、
「よかったぁ…」と、胸を撫で下ろす。
──…何だこれ。
可愛すぎる。
可愛くて、素直で──
「……ごめん」
「え?」
「いや、何でもない」
──…何だか、すごく罪悪感を感じる。
本性を出なくて、由莉を、騙してるみたいで。
「そういえば、昼 食べない?」
思えば思うほど、自己嫌悪は強くなって、
俺は適当にごまかして、話題を変えた。
「あっそうだよね!! もう1時だもんね!!」
「どっか行きたい所ある?」
「あそことかはどうかな?」
そう言って由莉は、うきうきと建物を指さした。
この遊園地の敷地内には、でっかい建物が一軒建っていて。
その中には、フードコートや、服屋とか、割と色んな店が揃っている。
普通、遊園地にこんなのあるか…?
って思うけど、まあそれが人気があるうちの1つらしい。
「よしっ行くか!」
「わーい♪」
そして、俺は由莉の手を取り、建物へと向かった。
ガヤガヤガヤ……
──どうやら、この建物は7階建てで、フードコートは6階らしい。
「由莉は 何 食べんの?」
「ん〜、私はやっぱりオムライスかな」
「ふっ…子供っぽいな」
「……子供っぽくてごめんねー」
なんて、他愛のない話でも楽しくて。
──…俺がこんなやつだって知ったら
由莉はどう思うだろう、とかふいに考えてしまう。
そんな事を思いながら俺は、
タイミグよくついたエレベーターに乗りながら、話を続ける。
「あっでも、デザートにクレープも食べた、い?!!」
……って由莉が話してるときに、なぜか大量に人が乗ってきた。
人並みに押され、俺の胸にポスッと収まる由莉。
…いやいや、もう人数オーバーしてるだろ。