♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
《7階です》
そう、エレベーターの電子音が告げる。
ガラガラと出て行く人。
やっぱり、後から乗ってきた人の目的は
フードコートだったらしい。
一気に周りがいなくなって、俺と由莉も離れた。
…あぁ。
やっと、地獄の時間が終わった……。
俺は、はぁ…と、ため息をつく。
…これ、精神的にキツすぎるって。
だけど、由莉はそんな俺のことは知らない。
「勇也、早く行こう!」
そう言って、由莉は俺の手を引いて、エレベーターから出た。
「うわぁ〜〜っ‼︎広いね‼︎いっぱいあるよ」
「…あ、あぁ。」
「早く行こうよ‼︎」
…何やってんだよ、俺。
さっきから由莉を変に意識して、
普通に接することができない。
「あ、私 あのオムライスにする〜‼︎」
「じゃあ、俺はあっちのラーメンにするわ」
そう言って、別々の店に並びに行った。
…その間に、俺は下心たっぷりの頭を一旦 落ち着かせる。
…もう、由莉の隣にいてたら、理性保てる気がしないんだけど。
もう、今日一日どうしたらいいんだよ……。
フードコートはたくさんの人で溢れている。
…これ、下手したら迷子になるよな。
由莉のことだし、本当に迷子になりそう。
そう思って、由莉の姿を探す。
「あれだ……って!」
──俺は、由莉の姿を見た瞬間、
そう声をもらした。
店の前で並んでいる由莉。
そんな由莉に何人かの男がニヤニヤと近づいていて。
男の中の1人が由莉の手首を掴んで、どこかに連れて行こうとしている。
…あいつ!
俺は店に並んでいたのなんて忘れて、
すぐに由莉の方へと走った。
──…由莉を1人にするんじゃなかった。
由莉みたいなやつが、1人でいたら
声かけられんのはわかってたはずだろ。
由莉は必死に抵抗しているけど、
男の力に叶うわけもなく、ずるずると引きずられて行く。
俺はそれを食い止めるように、ふわっと由莉を後ろから包み込んだ。
ぴたっと止まる男の動き。
「勇也………‼︎」
「あ?お前 誰だよ」
…明らかに機嫌悪そうな男たち。
でも、悪いんだけど、俺の方が機嫌悪いんでね…。
「それ、こっちの台詞なんだけど。
…人の女に何 勝手に手出してんの?」
俺は低い声でそう言って、男を睨んだ。
…本当、お前ら何やってんの?
「…っ、あぁ、わかったよ‼︎離せばいいんだろ⁈」
「わかってるんだったら、早くして」
俺がそう言うと、男は一瞬 ひるんで、
ちぇっと由莉の手を離した。
「せっかくすげぇ可愛い子見つけたのによー」
「結局は男持ちかよ」
とか何とか言いながら、面白くなさそうにどこかへ行った。
…男たちがどこかへ行ったのを見て、
由莉は肩の力をぬく。
「怖かったぁ……」
「ごめんな。由莉を1人にさせたのが間違いだった。」
俺がそう謝ると、由莉はぶんぶんと首を振って。
「そんなことない‼︎勇也は助けに来てくれたもんっ」
そして、にこっと笑う由莉。
「………っ!」