♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
───
──…
「ではどうぞ、ごゆっくり〜」
男の店員は、そう笑顔で案内する。
カシャン──…
そんな無機質な金属音が鳴り響いた。
「わぁーっ!この観覧車、中ピンクなんだねー‼︎」
「あ、あぁ…」
由莉は、観覧車に入るなり、すぐにはしゃぐ。
…観覧車とか、久々だわ。
この歳の男子が、観覧車乗るなんてまずないしな。
てか、あの店員も店員だ。
「……色々と、頑張ってくださいね」
なんて、乗る間際に笑顔で言ってくれた。
もちろん、由莉には聞こえない声で。
それに対して「あ、はい…」なんて返事してる俺も俺だけど。
───…1時間ほど前。
「あぁー、いっぱい乗ったね!」
「…だな。」
由莉はうーっ!と 伸びをしながら、
清々しい笑顔で言った。
…正直、俺は体力やら精神やらの限界。
頭がグラグラして気持ち悪い。
…あのあと、2人でオムライスを食べたあと、
由莉は早速、「ジェットコースターに乗りたい」と言い出した。
…ほんと、あれは吐きそうになったわ。
ただでさえ、絶叫系を連続で乗ったら
吐きそうになるのに、
食後って……。
途中、食べたオムライスが何度戻ってきそうになったことか。
だけど、由莉はすごく楽しそうで、
そんな由莉の笑顔を見たら、
由莉だって、いつも仕事頑張ってるしな…。
と、気にしなくなっていて。
そして、由莉に連れて行かれるがまま、
いろんなアトラクションに乗っていたら、もう夜の8時15分。
9時には閉店するらしく、
ラストかな、と思った。
「もう、乗ってないのなくね?」
「そうだよねー…、ほとんど制覇したし…」
うーん、と眉を寄せながら考えた由莉は、急に「あーっ!」と声をあげた。
「なんかあった?」
俺は、由莉にそう聞く。
「観覧車!」
「え?」
「観覧車!ほら、まだ乗ってなかったでしょ?」
「あぁ…そうだけど…」
「行こっ‼︎」
そう言って、由莉は目を輝かせて、俺の返事を聞く前に歩き出した。
…観覧車って、さ。
──…そして、今に至るって感じ。
「すごーい!夜景がすっごくきれいだ!」
由莉は外を見ながら、はしゃいでるけど、
俺は何だか落ち着けない。
だって…、周りの色がピンクだし。
それに──…