♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥





───
──…







「ではどうぞ、ごゆっくり〜」

男の店員は、そう笑顔で案内する。






カシャン──…


そんな無機質な金属音が鳴り響いた。




「わぁーっ!この観覧車、中ピンクなんだねー‼︎」

「あ、あぁ…」


由莉は、観覧車に入るなり、すぐにはしゃぐ。





…観覧車とか、久々だわ。


この歳の男子が、観覧車乗るなんてまずないしな。




てか、あの店員も店員だ。


「……色々と、頑張ってくださいね」


なんて、乗る間際に笑顔で言ってくれた。


もちろん、由莉には聞こえない声で。


それに対して「あ、はい…」なんて返事してる俺も俺だけど。










───…1時間ほど前。





「あぁー、いっぱい乗ったね!」

「…だな。」


由莉はうーっ!と 伸びをしながら、
清々しい笑顔で言った。



…正直、俺は体力やら精神やらの限界。

頭がグラグラして気持ち悪い。






…あのあと、2人でオムライスを食べたあと、
由莉は早速、「ジェットコースターに乗りたい」と言い出した。






…ほんと、あれは吐きそうになったわ。





ただでさえ、絶叫系を連続で乗ったら
吐きそうになるのに、
食後って……。




途中、食べたオムライスが何度戻ってきそうになったことか。




だけど、由莉はすごく楽しそうで、
そんな由莉の笑顔を見たら、

由莉だって、いつも仕事頑張ってるしな…。


と、気にしなくなっていて。






そして、由莉に連れて行かれるがまま、
いろんなアトラクションに乗っていたら、もう夜の8時15分。



9時には閉店するらしく、
ラストかな、と思った。



「もう、乗ってないのなくね?」

「そうだよねー…、ほとんど制覇したし…」




うーん、と眉を寄せながら考えた由莉は、急に「あーっ!」と声をあげた。




「なんかあった?」



俺は、由莉にそう聞く。



「観覧車!」

「え?」

「観覧車!ほら、まだ乗ってなかったでしょ?」

「あぁ…そうだけど…」

「行こっ‼︎」




そう言って、由莉は目を輝かせて、俺の返事を聞く前に歩き出した。



…観覧車って、さ。







──…そして、今に至るって感じ。


「すごーい!夜景がすっごくきれいだ!」



由莉は外を見ながら、はしゃいでるけど、
俺は何だか落ち着けない。



だって…、周りの色がピンクだし。








それに──…





< 194 / 248 >

この作品をシェア

pagetop