♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「…勇也、どうしたの?」
私がそう首をかしげて聞くと、勇也は指の隙間から
チラッと私を覗いて。
「……いや、さ。…由莉が誘ってくれようとしてたのが嬉しくて…。」
そう恥ずかしそうに呟く勇也を見て
私まで恥ずかしくなってきた。
何だか、この微妙な距離がすごくもどかしい。
──…私は、こうやっていつも勇也に惹かれていくんだろう。
「わ、私だって嬉しかったんだからね…」
そう聞こえない程度に呟いて、「早く戻ろっ‼︎」と、勇也の手を引いた。
────
───…
「あら、良かったじゃないっ♪」
「は、はい……」
放課後、昼休みのできごとを有紗に報告。
有紗は「ほんと、2人ともラブラブね!」とニヤニヤ笑っていた。
…でも、本当に良かった。
「そうと決まれば、行くわよっ‼︎」
「え、どこに?」
有紗は私の腕をがしっと掴み、何やら気合いを入れ出して。
「広瀬〜!今日は由莉借りるわね!」
「あー、わかった」
「ちょ、有紗…?!」
…私の言葉も聞かず、どこかへ走り出してしまった。
「………ねぇ、有紗。」
「ん?」
有紗は次々と商品に手をかけ、色々と見比べていく。
そんな有紗を見ていても、私には疑問しか湧いてこない。
「何で私たち、こんな所にいるの?」
──そう。
有紗が連れてきた場所とは、近くのショッピングセンターだった。
…しかも、メンズコーナー。
有紗はそんな私の質問に対して、眉間に眉を寄せ、「わかんないの?」と言った。
「いや…よくわかんない…」
「…クリスマスプレゼントあげないの?」
「あ」
そっか‼︎
「はぁ………、由莉さ、それくらいはわからないと」
本当、何も知らないのね、と苦笑する有紗。
「だって…付き合うのなんて、初めてだもん」
「はいはい。そうね。」
「でもさ、勇也、もらって困らないかな?」
「…はぁっ?」
そう言って、またもや不機嫌そうな声を上げる有紗。
ひぃっ………‼︎
怖いです、有紗さん!
そんな有紗に、私は肩をビクッと揺らす。
…有紗は、恋愛のことになると、本当に性格が変わって、
とても怖くなる。
「大丈夫だから。広瀬 嬉しがるに決まってるじゃない。あんなに由莉のこと溺愛してるのに。」
「ご…ごめんなさい。」
有紗が早口でそう言い、私は謝ることしかできなかった。
だって…、だって、有紗怖いんだもん。
「ま、わかったら、自分で選びなさい?♪私、ちょっと用事あるから!」
「えぇっ?!1人で選ぶなんて無理だよ!」
「大丈夫よ!わからなくなったら雑誌見に行くなり、店員さんに聞くなりしなさい?じゃ、ばいばーい‼︎」
「え、有紗…?!」
それだけ言い残すと、じゃーね、と手を振りながら
有紗はどこかに消えてしまった。
…え…………?
私…、どうしたらいいんだろう…。
ポツンと1人、この場に取り残されてしまった私は、
しばらくの間、その場に立ちすくんでいた。
「お客様?どうかなさりましたか?」
そんな時、店員さんが声をかけてくれて、私はハッと我に返って
「あ、何でもないです…」と言い、そそくさとその場を去った。
…とりあえず、雑誌コーナーにでも行こう。
何か、情報を得ないと……。
そして私は本屋へと向かった。