♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
見てみると、画面には西園寺さんの名前。
…西園寺さんから?
こんな朝早くになんだろう?
「もしもし」
疑問を抱きながらも、電話に出る。
『あ、momo?!』
「は、はい!」
珍しく慌てているような声のトーンの西園寺さんに
私もなぜか慌ててしまう。
『突然で悪いんだけど、今から来れる?』
「え、今日…ですか…?」
今日はちょっと…
勇也とのデートがあるもん。
「あの、すいませ…」
『今日、Venus.の社長さんが来てて、あなたに会いたいって言ってるの』
「え……」
西園寺さんの言葉に、出かけた言葉を飲み込む。
Venus.の、社長さんが…?
『他の日は無理か聞いてみたけど、今日しか空いてる日がないらしくて…。
ほら…、今日 広瀬くんと出かける日なんでしょ?』
「は…い………」
──どうしよう。
勇也とのデートは絶対に行きたい。
でも……、Venus.の社長さんにも絶対に会いたい。
会って、ちゃんと認めてもらいたい。
私の…、大好きな店なんだもん。
「西園寺さん……何時に事務所に行けばいいですか?」
…私は意を決してそう言った。
『え…、momo、来れるの…?』
無理だと思っていたんだろう。
西園寺さんは、電話の向こうから聞こえるのは、戸惑ったような声で。
「…はい。行きます。」
『…そう。じゃあ、11時に事務所で待ってるわ』
「わかりました」
──そして、私は電話を切った。
「はぁ……」
私はため息をつくと、ある人に電話をかける。
『もしもし?』
「あ…、勇也?」
──そう、勇也に…。
「急に仕事 入っちゃって…、3時に行けない…の。」
『………そっか。でも、来れるのは来れる?』
「うん‼︎行くよ、絶対!6時には行けると思う!」
──…ごめんね、勇也。
せっかくのデートなのに…。
『じゃ、6時に待ってるわ。…仕事頑張って』
でも…、いつも勇也は文句なんて言わないで
私を励ましてくれるの。
「…ありがとう。」
私は泣きそうになるのを必死に抑えて、
そう言い、電話を切った。
「……頑張ろ」
私は上着を羽織って、鞄を肩からギュッと持ち、家を出た。
「6時とか…遅いって……」
電話を切った後、勇也はそう悲しそうに呟いていた。