♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥



──…




「良かったの?本当に」

「はい!勇也にもちゃんと電話したので大丈夫です」

「…ごめんなさいね」



西園寺さんは明るく振る舞う私を見て、
申し訳なさそうに眉を下げて笑った。



…私も、本当は悲しいけど、Venus.も私にとって大切だから
断りたくなかった。



「あ、そうだっ‼︎今日の仕事って何があるんですか?」

「今日はVenus.の社長さんと打ち合わせをして…、
それからはよくわからないの。」

「そうですか…」





──…6時には、終わるよね…?

だってまだまだ時間はたくさんあるし…。




「momo…さん、かな…?」



そこには、白い頭をした、優しそうなおばあさんが立っていて。



「はい…?」



誰なんだろう。



「……momo、Venus.の朝田社長よ」

「え!」



私が頭の上にはてなマークを浮かべていると、
横から西園寺さんが小さな声で教えてくれた。





なんか…とても仕事ができるお姉さん、って感じかと思っていたから、
少しびっくりする。



この人が…Venus.の…!


そう思うと、どうしようもなく胸が高鳴って…、緊張して…。



「あの、初めまして!Venus.とコラボさせていただく、momoです!
今日は、よろしくお願いしますっ」


私は朝田社長に頭を下げた。



「momoのマネージャーの、西園寺です。よろしくお願いします。」



私の後に、西園寺さんも頭を下げた。





「ふふふ…元気な子だね。さぁ行こうか」




朝田社長は私を見て優しく笑って、打ち合わせの部屋へと向かう。



…やっぱり、朝田社長って見た目通り優しい人だ。




そう思うと、少し緊張がほぐれた気がして、
私と西園寺さんは朝田社長の後に続いた。









──それからは、たくさんの話をしていた。



Venus.を作った当時の話や、一時はもう倒産しそうになるほどまで追い詰められた話。



とても長かったけど、私にとっては大好きなVenus.の話。





それと、朝田社長が私を選んでくれた理由。





『純粋で、真っ直ぐで、輝いているあなたは、私が目指していたVenus.のイメージにぴったりだったのよ』



と、私の瞳を真っ直ぐ見て言ってくれた朝田社長は、
私に大きな自信を与えてくれた。





……ずっと、私がVenus.の商品を手掛けていいのか不安だった。


でも、朝田社長の話を聞いて、
私じゃなきゃダメなんだ。って思えるようになった。





朝田社長はどんな話でも、昔の自分のことを話すかのように、
とても嬉しそうに話していて。


私も、一緒に笑顔になっていた。






──そんな楽しい時間が過ぎて行くのはあっという間。



「それでは、私はこのへんで…、後は部下に撮影の方を頼んであるわ。ありがとう。」

「いえ!私こそ、色んなお話ができてとても良かったです。ありがとうございました!」




私は、最後にもう一度深々と頭を下げる。


朝田社長はふっと頬を緩めて、「また会えるといいわね」と言って、帰って行った。



「良かったわね」

「はい……っ。」




──朝田社長が帰り際にかけてくれた言葉。









「本当に、あなたを選んで正解だった。…これからも、頑張って」












…この言葉は嬉しいものであり、






そして、いつか私を惑わす。








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