♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
朝田社長の背中を見送った後、ふと思い出した。
…そうだっ、時間……!
慌ててケータイの画面を見ると3時。
良かったぁ…、撮影もすぐ終わるだろうし、6時には間に合う!
「momoー、撮影よー」
「はぁーい!今行きます!」
遠くから西園寺さんがそう呼ぶ声が聞こえて、
私は急いで走る。
「あれ?momoちゃん、今日はいつものメイクと違うよね?」
メイクルームに行くと、メイクさんは私の顔を見てすぐにそう言った。
「あ、そうなんです…」
──…だって、今日は勇也に会うから。
学校では前髪をあげてるけど、
今日くらいいいやって思って、今日は前髪も上げていない。
「すっごい似合ってるよ!落とすのももったいないし…今日はこのままで!」
「本当ですか⁈わかりました‼︎」
やったー♪
メイクさんに似合ってるって言われちゃったよ〜!
朝早くに起きて、頑張って良かった〜。
私は、心の中で喜びながら、
用意されていた衣装に着替える。
今回は、私がデザインしたアクセサリーを身につけて撮る。
色んな種類のアクセサリーをつけるから、
一回一回 服も変えていかないといけない。
「じゃー撮影 始めまーす」
その一言で始まった撮影。
私は着々と撮影を終わらしていく。
撮影の間、私はずっと朝田社長の言葉を頭の中で繰り返していた。
…私で、いいんだ。
この仕事は、私にしかできないんだから。
そう思うと、嬉しくって。
このあと、勇也に会えるって考えただけでも、楽しみで。
…なんだか、撮影の間、とても心地よい気分だった。
「じゃー、ラストの商品 撮ろっか」
「はーい」
私はさっきまで着ていた服を着替えていた時。
なんだか、スタジオがざわざわとし出した。
何やら大きな声で指示を出す声や、
バタバタと走り回っている足音。
「…?」
私はどうしたんだろうと首をかしげる。
「西園寺さん、どうしたんですか?」
私は近くにいた西園寺さんに声をかけた。
「それが…よくわからないんだけど、
最後に撮影する商品が見つからないらしいの…」
「えっ」
困った顔で不安そうに言う西園寺さん。
見つからないって……。
時計を見ると、針は5時半を指していて。
もう…、こんな時間?
「わ、私も探します!」
…時間が、迫ってる。
───
──
「そっちあった?」
「いえ、全く…」
「やばいな」
あれから、大勢で探してもなかなか出てこない。
私も、色んな所を見たけど見つからなかった。
この場にいる人、みんなが焦っている。
…それはそうだろう。
この中には家庭を持っている人だっているし、
私みたいに約束をしてる人もいるはずだもん。
「…仕方ない、今日はやめと…」
監督の人がそう言いかけた時。