♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥



「ごめん!待った?」

「ううん、全然。じゃあ行こっか」



…私の近くにいた人も彼女がやって来て、
2人で手を繋いでどこかへと歩いていく。



そんな2人の顔にはとても幸せそうな表情が浮かんでいて。



やっぱり勇也帰っちゃったかな…と泣きそうになる。









…それでも。



「…っ!」



私は走って勇也の姿を探した。




──他の人から見たら、私はどう見えているんだろう。


…クリスマスなのに1人で、かわいそうな人?

…ただの全力疾走してる人?





違う。


私は、大好きな人を探してるの。





──お願い…、私 勇也に会いたいよ…。




そう祈り続けながら、ずっと勇也の姿を探す。







そして、ふと目に止まった大きなクリスマスツリー。





たくさんの電飾が施されていて、とても綺麗に光っている。



そんな木の下。







「ゆう、や………っ?」





ツリーのレンガに座りながら、寒そうに腕を組んでいる人。



時折、手に息をハーッと吹きかけて手をこすり合わせている。



そして、時計を確認して切なそうに顔を歪める。








──…間違いない。

あの人は、勇也だ。






勇也の姿を見た瞬間、胸から何かが溢れてきて。







「〜〜…勇也っ!!!」




周りも気にせず、そう大きな声で叫んだ。





みんなが、私の方を見る。

それと同じように勇也も、私を見て。




驚いたような顔をして、ふっと安心したように笑った。



あぁ…会いたかった。





…私は走って、走って、走って、




「…由莉。」

「〜っ…」




──ボフっ。







…大好きな胸に、飛び込んだ。







勇也は両手で私を優しく受け止めてくれる。


その瞬間、訪れる喜び。

それと、…罪悪感。







勇也の腕が背中に回ってきて、私もギュッと勇也に抱きつく。






「ごめんっ、勇也、ごめんね…っ」

「大丈夫だよ」





そう言いながら、私の頬を撫でる勇也の手をとても冷たい。




…それは、ずっと私をここで待っててくれてた証拠。






「ごめんね…、ずっと待っててくれたの?」




勇也から少し体を離してそう聞くと、勇也は眉を下げて笑って。




「うん。…でも、由莉は来るって信じてたから。」




私の目を真っ直ぐ見ながら言う勇也に、キュンと胸が高鳴る。



…やっぱり、付き合っても勇也の笑顔にはときめくんだ。






「寒かったよね…って、そうだっ!」




すると、私の頭にあるモノの存在が浮かんだ。








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