♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
いいのかな…?
勇也みたいな人が、私の彼氏で。
付き合い始めた頃の疑問が、今になって思い浮かんでくる。
待ち合わせに遅れてくるような彼女だよ?
寒いのに、1人で待ってたんだ。
周りからの目も気になったに違いない。
それでも、勇也は私を信じて待っててくれた。
……考えれば考えるほど、胸から熱い思いがこみ上げてきて。
「ふ…っ、ぅぅっ………」
私は手で顔を覆って泣いていた。
「は…、え、由莉?!」
突然 泣き出した私に、勇也はとても慌てる。
「…ぅっ…、こんな…ダメな彼女で、ごめん、…ね…」
私がそう言うと、勇也は少し目を見開いて。
そして、また私が大好きな笑顔になって、私の頭をよしよしと撫でる。
クリスマスで予定があるからか、
ツリーの下には私と勇也だけになっていた。
「…何言ってんの。……俺は、由莉じゃないと嫌だから。」
──…そんな、甘い言葉を。
勇也は言って。
「だから…泣くなよ」
頭を撫でていた手はスッと私の頬に降りてくる。
「勇也……」
私は勇也のシャツをギュッと掴む。
「今日…最高に可愛い。」
愛おしそうに私を見つめるその顔は、
少しずつ近づいてきて。
私はゆっくりと目を閉じる。
「………メリークリスマス。」
──…クリスマスツリーの下で、
長くて優しいキスが降った。
いつまでも一緒にいたい、と心から願ったあの頃。
…だけど、不穏な影は、
音を立てずに忍びよって。
──そして、一気に私たちを呑み込むんだ。
自分の愚かさに、あとになって気付いても、
最後に残るのは後悔だけ。
──カシャッ。
そんなシャッター音は、私たちの耳に入ることなく。
…あぁ、神様。
どうか、あの頃に戻して下さい。
──…恋に溺れてしまったのは、誰?
動き出した歯車は、止められない。