♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
変な空気を残していくのが上手いんだ。有紗は。
「……主役って何の話?」
…ほら。
有紗が変なこと言うから、勇也がこうやって問いただし始めたじゃん。
「えーっとね…、うん。」
「いや、うん。だけじゃわからないんだけど」
「…言えない」
「何で?」
…だって。
だって、そんなの言えるわけないじゃん‼︎
私って勇也に愛されてるの?なんて。
勇也って独占欲 強いの?…なんて。
無理!絶対 言えない!
恥ずかしすぎて死んじゃうに決まってる!
「…由莉?…顔赤いけどどうした?」
「え……、いや…っ、なんでもないよ!」
ふいに勇也が顔を覗き込んでくるから、反射的に顔をそらす。
「由ー莉ー?俺に隠し事するんだ?」
そう、ニコッと黒い笑みを浮かべる勇也。
「や、そういうわけではなくて…ですね…」
ど、どどどどうしよう。
勇也の顔が…怒ってるよ!
「じゃあどういうことか詳しく説明してくれるよな?」
「え………っと……」
私の肩をガシッと掴み、逃がさないから、という風に目で訴えてくる勇也。
…指には、私とお揃いの指輪。
それと、私があげたマフラーも巻いてくれている。
…つけてくれてる、んだ…。
そう思った瞬間、胸がドキドキと鳴って、喜びがこみ上げてくる。
──…あぁ、もうほんとに好き。
「由莉?早く」
「あ、の……」
だけど、そんなことを考える暇もなく、勇也は聞き出す。
…お願いだから、急かさないでよ〜!
言えばいいんでしょ?
『私のこと愛してる?』って。
「わ、私の…こと…」
「うん?」
勇也は私を、じっと見つめたまま。
そんなカッコいい顔で聞かないで…っ。
「あ、」
「あ?」
「あい…………〜っ、やっぱり無理‼︎‼︎」
「ちょ…っ由莉!」
無理無理無理‼︎
私は勇也から顔を思いっきりそらし、
走り出した。
だけど、勇也は私を追いかける。
「来ないで〜っ‼︎」
「由莉が逃げるから!」
「勇也が追いかけてくるからじゃん!」
「逃げなかったら追いかけないって!」
──…こんなやり取りが放課後になるまで続いた。
そして、
チャイムが鳴って帰る準備をしていると。
「由莉、帰るぞ」
タイミングよく私の目の前に現れた勇也。
「〜だから、私は言わないって…」
言ってるじゃん。
そう続けようとした時。
ピルルルルルル……‼︎
私のケータイが鳴って。
「あ、ごめん!西園寺さんからだ…‼︎」
私は勇也にそう言ってから電話に出る。
「もしもし?」
『…momo。事情はあとで話すから、事務所に来てほしいの』
やけに暗い西園寺さんの声。
何かを言うことをためらっているような声だった。
「?…はい。わかりました」
『待ってるわ』
西園寺さんはそれだけ言うと、電話を切った。