♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「ごめん…勇也。」
「どうした?」
「西園寺さんに呼ばれちゃって…」
ごめんね?
と、もう1度謝る。
「…そっか。頑張れよ」
勇也は一瞬、悲しそうな表情を浮かべたけど、
すぐに笑って私の頭をポンポンと撫でた。
「うん!じゃ、またねっ」
私は、少しだけ申し訳ない気持ちを抱えて、
勇也に手を振りながら教室を出て行った。
──それにしても、西園寺さんの話ってなんだろう。
…また、Venus.の話だったりして♪
「…急ごっと」
私は、事務所までの道を急いだ。
…私の呑気な考えはすぐに打ち消されるとも知らず。
───
──
「こんにちは…」
「momo…!」
ガラッと事務所のドアを開けると、
慌てて駆け寄ってくる西園寺さん。
その瞬間 私は何かイヤな空気を感じた。
な、に…この雰囲気。
明らかに様子がおかしい西園寺さん。
…私の姿を見るなり、顔が青ざめる。
いつもだったら、「こんにちは、momo」って微笑んでくれるのに。
「え…っと、今日は…?」
震えそうになる声を抑える。
西園寺さんは、目線を下に向けて、ためらいながらこう言った。
「───…社長が、呼んでるの」
…嫌な予感しか、しないのはどうして?
「わかり、ました…」
…大丈夫。大した話じゃ、ないはず。
もしかしたら、何かのサプライズかもしれない。
こんな風に深刻そうな顔をして……、
それで私を不安にさせてから、実は全部演技でしたー…みたいな。
そうだ。絶対そうに決まってる。
ねぇ、西園寺さん…。
お願いだから、そんな顔しないで…?
…西園寺さんの背中を見つめたまま、ただそう祈った。
──「社長。momoを…連れてきました」
…だけど結局、西園寺さんは一言も話すことなく
私を社長室まで連れてきて。
「入りなさい」
この前会った時に聞いた声より低い、社長の声が聞こえた。
「失礼、します……」
心臓が、ドクドクと鳴っている。
社長室に入った瞬間にわかる、
異常な空気。
それは、西園寺さんが放っていたものとは比べものにならない。
苦しくて、苦しくて、息がしづらい。