♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
私が社長の机の前に立つと、社長はゆっくりと口を開いた。
「──…何故呼ばれたか、わかる?」
シン…と、場の空気が凍ったのがわかった。
私はごくりと唾を飲み込んでから
「…いえ。わかりません」
と言った。
本当に、何の話かはわからない。
………でも、いい話ではないって事だけはわかる。
社長の口調や、西園寺さんの苦しそうな表情がそれを教えてくれている。
社長は、小さくため息をついてから、引き出しを開けて、
何かを取り出した。
──パサッ。
「……これは、momoね?」
「ぇ………」
私はそれを見て、言葉を失った。
な、んで…?
どういうことなの…?
──社長が取り出した数枚の写真。
私は、1枚ずつ手に取って見ていく。
それらはどれもピントがあっていて、綺麗に撮れている、
…私と、勇也の写真。
公園のブランコに座って、何かを話しているもの。
遊園地の敷地内で、私と勇也が手を繋いで歩いているもの。
…クリスマスツリーの前で、2人がキスをして、指輪をつけているもの。
その他にも、学校の帰り道や、駅前のカフェでの姿も写されているものもあった。
20枚くらいの写真。
写真の中の私は、とても幸せそうに笑っていて、
2人はどう見ても付き合っているとわかる写真だった。
なんだか、変な感じ。
写真の中の自分を見て、とても微笑ましく思った。
──…だけど、それよりも感じてしまうのは、恐怖。
…いつも、誰かに盗撮されていたってこと…?
「…っ、何で、こんな写真…‼︎」
怖い。怖い。怖い。
腕が少しずつ震え出す。
「…あるマスコミが、突然 事務所に送ってきたのよ。
『この写真を流出されたくなかったら、金を出せ』って…。
もちろん、全てのデータと引き換えにお金は払ったわ。」
「嘘…」
…そんな大変なことになってたなんて…。
私の行動で…。
「…ごめん、なさい……っ」
私は、バッと深く頭を下げた。
「いいのよmomo。
幸い、世間には漏らしていないみたいだし」
私がしばらく頭を下げていると、
社長の声が少し柔らかくなって。
「よかった…」
迷惑はかけたけど…なんとか丸く収まったのかな?
と、思っていると。
社長は目を細めて、ふっと笑い、
「だけど、一つだけ。
──広瀬 勇也と、別れなさい。」
──…私の耳にはっきりと聞こえるよう、
そんな言葉を放った。