♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
そして、そのまま車は私の家の前に到着した。
「…送ってくれて、ありがとうございます」
「いいのよ。…まだ、マスコミはあなたのネタを掴もうとしてる。だから、気を付けて。」
「…は、い」
…まだいるんだ。
って、それもそうか。
「それじゃあ、さようなら」
「はい、ありがとうございました」
西園寺さんは小さく笑うと、そのまま車を走らせて行ってしまった。
私は体の向きをくるっと変えて、家の中に入った。
「おかえりなさい、由莉」
「んー…」
「どうしたの?ボーッとしちゃって」
「んー…、あ。そうだ。今日 晩ご飯いらない」
「体調でも悪いの?」
「そうかもー」
家に入るとお母さんが声をかけてくれたけど、
適当に流しているだけ。
今日は、何も考えられないや。
「…違うか」
ただ私が、考えたくないだけ──。
ベッドに横たわり、そのままゆっくりと瞼を閉じる。
──…あぁ、もしかしたらこれは全部夢なのかも。
朝起きたら、何もなかったことになってたりして。
………なんて。
───
──
リリリリリリリリ…
「ん〜……っ」
私の部屋中にうるさく鳴り響く目覚ましの音に起こされ、
重い瞼を開ける。
窓の外を見ると、空の色は明るくなっていて、朝だと気づかされる。
もう朝……。
ボーッとしている頭を働かしていると、
昨日のことを思い出した。
そうだ、昨日社長に呼ばれて──…。
…あのあと寝たんだ、私。
「…あっ。お風呂入ってなかった…」
お風呂に入らないなんて絶対嫌だ。
私は急いで着替えを持って、浴室に向かう。
朝だし、時間ないからシャワーだけにしよう…。
そう思って、急いでシャワーを浴びる。
「気持ちいー……」
朝にシャワーっていうのも悪くない。
でも、
「……。」
いっそのこと、この重たい気持ちまで流してくれたらいいのに、と心の中で思う。
こんな気持ちになったのなんて、初めて。
憂鬱で憂鬱で、全てがかすんで見える。
……昨日の景色と、全然違う。
まだ何も知らないでいた、昨日。
時間は、私の気持ちなんて関係なく、
それはそれ、これはこれとでも言うように、
どんどん進んでいくの。
「…学校 行かなきゃ」
私はすぐにシャワーを終わらせ、浴室を出る。
そして、準備をしてから家を出た。