♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「由莉、食堂一緒に行かね?」
──昼休み。
いつもと変わることなく、勇也がそう声をかける。
「うん!行こっ!」
勇也を見ながら、ふと昨日のことが頭をよぎる。
そんな当たり前の日常にすら、涙がこみあげてきそうになった。
…こんな日々を失うなんて、絶対に嫌だ。
──『あなたに恋愛はダメよ』
…そんなこと、ない。
私だって恋愛していいに決まってる。
勇也と付き合って、仕事がうまくいってることだってある。
うん、そうだ。
今回は私の注意不足だっただけだもん。
これからは…、大丈夫…だから。
「……由莉、聞いてる?」
そんな時、突然上から降ってきた言葉。
「えっ…?あ、ごめんね、何?」
「食堂は混んでるから、購買でパン買って屋上で食べよう、って」
勇也は私に、どうした?と心配の目を向けてくる。
「…っ」
勇也と目が合った瞬間、突然胸が苦しくなった。
──本当は、言ってしまいたい。
昨日のことも全部。
私が今 思ってることも全部、聞いてほしい。
そして、大丈夫 俺がついてるから、って言ってもらいたいの。
いつもみたいに、よしよしって頭を撫でてくれて…。
……だけど、そんなことできないよ。
私が言ったら、勇也は自分に責任を感じるんでしょう?
「……大丈夫!屋上行こう!」
…だから、私は、勇也に知られないように、無理して笑うんだ。
──…本当はわかってるの。
こんなことをして、誰にいいことがあるんだ、って。
こういう時こそ勇也に頼るべきなんじゃないの?
このまま隠し続けて、私はそれでいいの?
そんなことを考えながら
勇也と昼休みを過ごした。