♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
──キーンコーンカーンコーン…
「あ、もう予鈴か」
勇也が時計を見てつぶやいた。
周りにいた人たちも、次々と屋上を後にしている。
「ほんとだ…」
…こうやって、すぐに時間は過ぎていくんだ。
「じゃ、授業始まるし帰るか」
「……」
勇也はよいしょ、と言いながら立ち上がる。
だけど、私は勇也の袖をギュッと握った。
「由莉?」
…まだ、勇也といたいよ。
西園寺さんは、私にまだマスコミは張り付いているって言ってた。
もう、一緒に帰れないんだね。
出掛けたりもできない。
「……授業、行きたくない」
「え?」
──…だったら、それ意外の時は出来るだけ、一緒にいたい。
「どうした?」
「…」
勇也がそう聞くけど、私は何も答えられない。
だって、どう説明したらいいのかもわかんない。
そんな私を察してくれたのか、勇也は小さく息を漏らして。
「……ま、俺もサボりたいと思ってたとこだったけど」
勇也はそうふっと笑って、また私の隣に腰を下ろした。
「…ごめんね」
「大丈夫」
勇也は自分の胸に、私の頭をグッと抱き寄せた。
そして、私は勇也の優しさに甘えるんだ。
──…なぁ、何を隠してる?
『ごめんね』なんて言葉いらないから。
だから、………俺を、頼ってくれよ。
──勇也が、私を抱きしめながら
どんな気持ちでいたかも知らずに。