♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「なぁ、伊集院。お願いだから…話してくれよ…」
伊集院がこんな風になるなんて、よっぽどの理由があるんだろう。
そう言うと、伊集院は自分を落ち着かせるかのように
はぁーっと息を吐いて、静かに口を開いた。
「…由莉は、学校でしか広瀬の近くに行きたがらないでしょ?」
「…うん」
…それも、なんとなくわかってた。
だって、まるで別人だから。
学校では、ずっと俺のそばを離れないくらいなのに、
学校から出ようとすると、逆に俺から離れようとする。
「由莉はね、広瀬に言うつもりはないみたい…」
「…何で?」
──…何で、俺には言ってくれない?
そんなに頼れない?
「……多分だけど、由莉のことだから広瀬を傷つけたくないのよ」
「は?」
「苦しい思いをするのは、自分だけでいい、そう思ってるんだと思う…。」
伊集院がそう言ったあと、「ごめん、これ以上は言えない」と短く謝った。
その時の伊集院の苦しそうな顔を見ると、これ以上問いただすことなんて出来なかった。
…多分、伊集院は由莉との約束を破らないように、ずっと黙ってたんだ。
まだ情報は少ないけど、これが精一杯なんだ。
「そっか…、ありがとうな」
「うん……じゃ、私は帰るわね」
「おう」
話が終わったあと、伊集院はドアへと向かっていく。