♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
伊集院が立ち去ったあとの屋上に一人残された俺。
辺りはシーンとしていて、冬の冷たい風が吹いている音だけ聞こえる。
「…俺も、帰るか」
そう1人呟いて、俺は屋上から出た。
…それにしても、さっきの話はどういうことだったんだろう。
伊集院の話を聞く限り、伊集院は俺に言うように勧めたらしい。
…だけど、由莉はそれを拒否した。
由莉の大親友の伊集院の話をことわるなんて、よっぽどのことなのか。
それに、言ったら俺が苦しむって何?
傷つくのは自分だけでいいって、由莉は今 傷ついてるってことか?
──…俺は、由莉が傷ついていることに、気付いていなかった…?
「何だよそれ……っ」
何で俺は気付いてやれなかったんだ。
やっぱり、由莉が一緒に帰れない、と悲しそうに言うのには意味があったんだ。
校門をくぐってからも、1人でただずっと考える。
気付けば、同じ高校の生徒もいなくなっていて、
道には俺だけしか歩いていなかった。
…ちょっと考え込みすぎたか。
そう思っていた時。
「──…広瀬 勇也…、くん?」
背後から突然、聞きなれない女性の声がした。