♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「別れろってどういう……」
──やめろ。
頭の中で警報が鳴り響く。
これ以上聞くともう戻れないぞ、と言っているようなそんな感じ。
ドクドクと心臓が不快な音を立て出す。
「ちゃんと…説明してください」
──聞くな。
小刻みに震え出した右手を左手で必死に押さえつける。
由莉の社長さんは、俺をじっと見つめた後、すっと視線を下に落として話し出した。
「…広瀬くんと由莉の写真が週刊誌に撮られたの」
「え…?」
信じられない話を聞き、思わず固まる。
俺たちが撮られてた…?
…いつ、どこで?
「1枚だけじゃなくて何枚も。場所も、日にちも違う。
…きっと、あの子を狙ってずっと張り付いてたのよ」
──嘘だ。
俺たちはずっと誰かに監視されてたってわけか?
…そう考えると、背筋がぞくりとした。
でもそんなことより。
「…由莉は、大丈夫なんですか?」
俺は、どうしてもこっちの方が気になってしまう。
仕事に支障とか出たらそれこそ大変だ。
「…あの子は大丈夫よ。こっちで最大限の手をつくしたから。
──…でも、これで終わりじゃない。」
社長の声が一気に低くなるのがわかった。
「由莉が、Venus.とコラボして商品を作っているのは聞いてるかしら?」
「はい、知っています。」
その話が決まった時の、由莉の嬉しそうな顔。
見たことがないくらいに幸せそうで、
見ているこっちまで嬉しくなってきた。
あの日から今日まで、夜遅くになっても打ち合わせをしたり、デザインを考えたりしているのも
ずっと近くで見てきた。
「そう…。
…この話はまだ由莉にはしてないんだけど、違う話も出ているの。」
「違う話…?」
それに、まだ由莉にも話していない…?
「……パリコレから、オファーが来たの」