♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥





「…っ」




どうしようもないこの感情。




──由莉には、夢を叶えてほしい。


由莉の喜ぶ顔が見たいから。


そしてまた「勇也!」と俺の名前を、曇り一つない笑顔で呼んでほしい。




モデルとして頑張っている由莉の姿は、本当に輝いていて。








──だけど……、やっぱり由莉と別れたくないと思うのは、俺がわがまますぎるんだろうか?





今日のことは何もなかったことにして、
明日も苦しんでいることに気付かぬふりをして、由莉と一緒にいる。




…そうしたら、俺は由莉といられる。



それに、由莉だって、
俺が別れようって言ったら、傷つくに違いない。




…それくらい、俺も由莉が好きだし、
由莉も俺が好きだってわかってる。






別れた方が由莉がボロボロになっていくんじゃ…









──そんな風に考えていた時、ハッとした。




「──…」




そうか。

違うだろ…こんな考え。



俺は、そうやって自分を正当化してきただけなんだ。









「……ったく、」







本当、何を考えてんの、俺は。



俺は深呼吸して、自分自身に問いかけた。










『今まで散々、由莉のため、なんて言っていたけど、



…本当は、自分のためなんだろ?』



と。








…由莉と離れたくないがために、それらしい理由を並べていただけなんだ。






ただ単に、俺が由莉から離れたくなかっただけ。






──だけど、俺が由莉から手を離すことで、
由莉が背負っているものが軽くなるならそれでいい…。



俺のせいで、由莉の将来をつぶすことになるなんて絶対に嫌だ。







だから、俺はズボンを力いっぱい握りしめ、口を開いたんだ。










「…社長。明日だけ…、由莉を貸してください。」









……ちゃんと、自分自身に区切りをつけるために。







*勇也side END*






< 227 / 248 >

この作品をシェア

pagetop