♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「…っ」
どうしようもないこの感情。
──由莉には、夢を叶えてほしい。
由莉の喜ぶ顔が見たいから。
そしてまた「勇也!」と俺の名前を、曇り一つない笑顔で呼んでほしい。
モデルとして頑張っている由莉の姿は、本当に輝いていて。
──だけど……、やっぱり由莉と別れたくないと思うのは、俺がわがまますぎるんだろうか?
今日のことは何もなかったことにして、
明日も苦しんでいることに気付かぬふりをして、由莉と一緒にいる。
…そうしたら、俺は由莉といられる。
それに、由莉だって、
俺が別れようって言ったら、傷つくに違いない。
…それくらい、俺も由莉が好きだし、
由莉も俺が好きだってわかってる。
別れた方が由莉がボロボロになっていくんじゃ…
──そんな風に考えていた時、ハッとした。
「──…」
そうか。
違うだろ…こんな考え。
俺は、そうやって自分を正当化してきただけなんだ。
「……ったく、」
本当、何を考えてんの、俺は。
俺は深呼吸して、自分自身に問いかけた。
『今まで散々、由莉のため、なんて言っていたけど、
…本当は、自分のためなんだろ?』
と。
…由莉と離れたくないがために、それらしい理由を並べていただけなんだ。
ただ単に、俺が由莉から離れたくなかっただけ。
──だけど、俺が由莉から手を離すことで、
由莉が背負っているものが軽くなるならそれでいい…。
俺のせいで、由莉の将来をつぶすことになるなんて絶対に嫌だ。
だから、俺はズボンを力いっぱい握りしめ、口を開いたんだ。
「…社長。明日だけ…、由莉を貸してください。」
……ちゃんと、自分自身に区切りをつけるために。
*勇也side END*