♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
呆然としている私をよそに、勇也は私の手を引きながら歩いていく。
手、最後に繋いだのいつだっけ…。
デートも、最後にしたのはいつ…?
…またあの頃みたいに戻りたいよ。
でも、そんな願いも叶わないんだ──。
「ゆ、勇也…、お願いっ、離して…!」
私は必死に勇也の手をほどこうとする。
──手を離して、お願い。
──まだ、繋いでいたい。
そんな正反対の思いが、私の胸の中に生まれる。
離してほしいけど、離してほしくない。
離してくれないと、今度はもっと大変なことになりそうで。
…でも、離したら本当にもう2度と戻れなくなりそうで。
──選択肢は2つに1つ。
どちらの道を選んだとしても、引き返せなくなることくらいわかってる。
だけど、このままだと外に出てしまう。
…監視されている、外に。
それだけは、絶対にダメ。
…だって、勇也にまで迷惑かけることになるんだから。
「なんで由莉は、離してほしいの?」
ふいに勇也が足を止めて、こちらも振り返らずにそう聞く。
「それは…っ」
…だけど私は何にも答えることができない。
……言えないよ、そんなの。
すると、繋がれている手に、ギュッと強い力が入った。
そして勇也は、落ち着いた声で話し出す。
「大丈夫、心配しなくていいよ。…ちゃんと、話してあるから。」
「え…?」
話してあるって…、何を?
何が大丈夫、なの?
──勇也は、何の話をしているの…?
混乱している私に、勇也は私の方を振り返り、悲しそうに笑って。
「だから……、“最後”に俺の願いも聞いて…?」
──ねぇ、勇也。
“最後”って………、何?