♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「……」
「……」
勇也に手を引かれるがまま歩いてきて、
着いたのはあの公園。
…私たちの始まりの場所。
この公園で、告白されて、初めてキスをして、そして付き合った。
私たちはあの時と同じように、ブランコに腰を下ろした。
私は鎖をギュッと握りながら、下を向く。
──あの日の景色は今でもはっきりと覚えている。
…だけど。
いつもなら、思い出すだけで嬉しくてたまらない気持ちになるのに、
今は胸が苦しくなるのはなぜだろう…?
「………あの、さ」
「そ、そういえばねっ‼︎」
重い空気を破って、遠慮がちに勇也が口を開いた。
だけど私は、とっさに何かを言おうと必死になる。
何か…、何か言わなきゃ!
「あのね…!Venus.とコラボして作っていた商品、もうすぐ発売されるの!!」
プチパニックに陥った時、口から出たのはそんな言葉。
勇也は、最初はびっくりしたように目を見開いたけど、
そのあとふっと優しく笑って「良かったな」と微笑む。
「いつくらい?」
「え、えっと…、来週の日曜日だったと思う!」
「そっ、か……」
………まずい。
仕事の話をするのはダメだったかもしれない。
それに、外なのにこうやって堂々と勇也と2人でいるのも危険なのかもしれない。
…そう思うと、盗撮されていた写真を見せられた時に感じた恐怖が、じわじわとまたこみ上げてくる。
「…由莉、頑張ってんだな」
そんな時、勇也の優しい声が聞こえる。
…勇也がそう言ってくれるだけで、もう心は温かくなって。
それと同時に、泣きそうになって。
「由莉は今、……幸せ?」
──寒さで空気が冷え込んでいる中、勇也のそんな声が、はっきりと私の耳に届いた。