♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
───
──
「……失礼します」
ドアをノックして、妙に威圧感があるドアをゆっくりと開いた。
私はその部屋に入って、椅子に座っている人物に目をやった。
「…今日は話があって来たのよね?」
「…はい」
息がしにくいほど重苦しい空気が漂う。
私は、すーっと息を吸って口を開いた。
「──別れました。」
私がそう言うと社長は、私の目をじっと見つめて。
「ちゃんと、決心はできたのね?」
決心…、なんてできてるのかわからない。
だけど、これは私が前に進めるように、勇也が考えてくれたなんだ。
…それに、さっきの女の子みたいに、私のことを応援してくれている人だって
たくさんいる。
勝手な自分の事情で、その人たちを悲しませるわけにもいかない。
「はい。」
こう言うしかないんだ。
私自身、気持ちに区切りをつけるためにも。
「そう。その言葉を聞けて良かったわ。」
社長はそう私に少し気を使いながら微笑んだのを見て、
お辞儀をしてから、私は部屋を出た。
──…それからもう2週間ぐらい経ったのかな。
あの日からパッタリと私と勇也がいることはなくなって、
その様子に周囲は気付き始め、私が別れたという話はすぐに広まった。
「別れたって本当?」と、私には質問攻めにあう毎日。
多分、それは勇也も同じだと思う。
だけど、まだ傷が癒えてないことを知っている有紗は、
いつも私を守ってくれていたんだ。