♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
「由莉、私 この後担任に呼ばれてるから先に帰ってて!」
「あ、わかった!じゃーねー!」
放課後になって、勇也と別れてからずっと一緒に帰ってた有紗も、今日は用事があるみたい。
…仕方ない。ちょっと寂しいけど一人で帰ろう。
次々と人が帰っていく中で、私はゆっくりと教科書をかばんに詰め込んでいく。
そんな時。
「あ、広瀬くーんっ♪」
「今日 一緒に遊ぼうよー!」
私の耳に入ってきた、そんな言葉。
はっとその声の方を見ると、廊下で勇也が何人かの女子に囲まれて、
話している姿が見えた。
──…やっぱり、勇也はモテるなぁ。
胸が痛くなり、唇を噛み締めた。
…私と勇也が別れ、この瞬間を待ってましたと言わんばかりに
勇也に近づこうとする子が増えた。
今までは、私と付き合っているからと
目の保養にしているだけの子が多かったらしい。
だけど、別れた今、勇也はもちろんフリーなわけで。
そんな勇也を、女子の皆様が放っておくわけがない。
もう何人にも告白されてるらしいし、
勇也と他の子が一緒に喋っている姿も、よく目にするようになった。
それに、勇也も勇也で、何だか楽しそうに話しているんだ。
…でも、もう彼女でも何でもない私が、
口出しするようなことじゃないんだけど…。
「……っ」
もう、見たくない。
早く帰ろう。
私はかばんを持ち、顔を俯かせながら、
勇也たちの前を足早に通り過ぎた。
…勇也も話していたから、多分 私には気付いてないだろう。