♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥







「…俺さ、こんなに誰かを手に入れたいって思ったの、初めて。

なのに、水野は広瀬と付き合っちゃうし、タイミングを見て告ったのに、振られたし。」



「〜〜っ」




「──…俺の気持ち、わかる?」




話すたび、榎本くんの息が耳に吹きかかって、びくっと肩を揺らす。



「離して…っ」




じんわりと目に涙が浮かんでくるのがわかる。







「離してって言われて離すほど、俺 いい奴じゃないから」




榎本くんは、目を怪しく光らせて、空いていたもう一方の手を私の頬に添えた。




「や、めて…!やだ…!!」






私は横に顔を振って、涙をこらえながら榎本くんを睨む。






「…いいね、その目。」





…だけど、彼には逆効果だったみたい。




私の顎をくいっと持ち上げて、その顔が近づいてくる。






「…いや…っ」


「…いいじゃん。別に、初めてじゃないんだし」








──気持ち悪い。

一気に押し寄せて来る拒絶感。






…あぁ、もうダメだ。




榎本くんのおでこがコツン、と当たって
私は唇を噛み締めながらギュッと目をつぶった。









──そんな時。













「……何、してんだよ」










…そう芯から冷めきったような低い声とともに、
押さえつけられていた私の両手が自由になった。





──え……?



私は固く閉じていた目をゆっくりと開ける。








すると目の前には、榎本くんの手首をグッとつかんでいる人がいて。






「はっ……、なんでお前が来るんだよ。



──広瀬。」

















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