♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
ピーンポーン────……
その距離、およそ8cm。
鳴り響いたインターホンの音。
「……。」
「……。」
黙る、2人。
そして、少ししてから勇也ははっとしたように、
私の手首から手を離して、立ち上がる。
「伊集院が来たから、迎に行ってくるな」
「あ、うん。」
何事もなかったかのように言う勇也。
勇也はドアノブに手をかけて、部屋を出た。
────バタン。
ドアが閉められ、勇也の部屋で1人になった時、私は思った。
……………び、っくりしたぁ。
アレって何だったんだろう。
さっきまでの事を思い出して、今更ながら、心臓がうるさく鳴り出す。
手を掴まれて…、それから…肩押さえられたと思ったら……、
ゆ、勇也の顔が…近づいて、きて………///
「ぁぁぁああ!!!!」
そう言って私は両手で顔を覆う。
ダメだ。思い出しただけでも恥ずかしい。
……何で、勇也はあんなことしたんだろう。
私にとってはとても大事だった。
なのに………、なのに勇也はあの後、何にもなかったみたいに普通だった、し。
私だけか、こんな意識しちゃってるのは。
この時、私は知らなかったんだ。
ドアの向こう側で───
「…俺、何考えてんだよ…。
──キスしたい、なんて………っ」
…………勇也が、口元を手で覆いながら呟いていたことを。