幼なじみの恋愛事情
「…変態消えろ」
「ちょっとナギさん、口悪いよ」
てか、男が語尾「だもん」とかやめて。キモいから。
でも、ヤツの場合そうでもないとこがまた腹が立つ。
て、これは完全なる八つ当たりだけど。
「…で、早くこの手退けてくんない?」
そう言って、ヤツの手を掴み自分から引き剥がそうと試みる。
が。
「やーだ」
そう駄々っ子みたいに言ったかと思うと、千歳はさっきまでただわたしに回していただけの腕を自分の方へと引き寄せた。
つまり、本格的に後ろから抱きしめられる体勢になったということだ。
「、ちょ…!」
背中からダイレクトに感じるヤツの熱に、ドキドキせずにはいられなくて。
「変態!痴漢!離れろバカ!!」
これでもかってほど加速している鼓動を気づかれたくなくて、必死に悪態をつく。
「痴漢はないでしょ、痴漢は」
わたしの言葉はまったく心に効いてないようだ。
現にヤツはなにがそんなに楽しいのか、クスクスと笑っている。