幼なじみの恋愛事情
「――…それで、今日のごはんは?」
身長差的に仕方のないことだが、しゃべるとヤツの息がわたしの耳を撫でる。
それがなんだか無性にぞくぞくして。
「お、オムライス…!」
この状況にむやみにてんぱって、思いの外大きい声が出てしまった。
「ほら!答えたんだから離れて。てか、今すぐ離れろ!」
「えーなんで」
なんて、不満そうなセリフのわりに、楽しそうな声を出しながら、さらにわたしを引き寄せるヤツ。
必然的に、もっと体が密着するわけで。
「…っ、離れてくんないと作れない」
あたふたすると、ヤツの思い通りになる気がして、あえて冷静を装う。
まあ、できてるかどうかは置いといて。
すると、わたしの意図を知ってか知らずか。
千歳はクスッと笑みをこぼして。
「――…ナギ、顔真っ赤」
甘美なほどの甘い声でそう言った。